第12話 学園生活〜意外と悪くないと思うのだが?
朝倉さんのいる教室へ向かうとやはりすごい注目を集められた。
本当に男って珍しいんだな。
「な、鳴海くん……!」
「朝倉さん!」
小走りで駆け寄ってくれた朝倉さん。
相変わらず可愛らしい容姿をしている。そして朝倉さんを見ると落ち着く。
「鳴海くん無事に試験に受かったんだね。おめでとう」
「ありがとう。これもあの時、朝倉さんが案内してくれたおかげだよ」
「私はそんな大したことしてないよ……」
謙遜している朝倉さんも可愛いな。
「ちょーと、うちらのこと忘れてなーい?」
「そ、そうよ……! 陽茉利だけずるいわ…!」
朝倉さんと話していたら後ろから大江さんと城ヶ崎さんが少し怒っている様子で来た。
「わ、忘れてないよ? 大江さんと城ヶ崎さんだよね」
こんなに可愛い子達を忘れるはずがない。前の世界だったらお近づきになれなかっただろう。
「覚えてくれてたんだ〜」
「お、覚えてくれたのね……!」
二人の笑顔が可愛くて眩しいな。
「鳴海くんは今日からこの学園に通うの?」
「そうだよ」
「毎日?」
「うん」
そう答えると質問してきた大江さん含めクラスが騒がしくなった。どうやら喜んでいるようだ。
「やったー! 毎日鳴海くんと会えるね!」
大江さんが目をキラキラと輝かせながら俺に近づいてきた。
む、胸が当たりそう……。
「ほら真央ちゃん、鳴海くんに近づきすぎだよ。鳴海くんが困ってるでしょ」
ありがとう朝倉さん。
朝倉さんの言うことを素直に聞いて距離を取ってくれた。
「鳴海さん」
後ろから名前を呼ばれたので振り向くと、冬瀬さんがいた。
「陽茉利さん、真央さん、詩織さん失礼しますね。そろそろお時間が迫ってくるので鳴海さんを呼びに来ました」
時計を見ると確かに授業が始まる二分前だった。冬瀬さん、面倒見がいいな。
「もうそんな時間か……。じゃあまた来るね」
軽く手を振り、冬瀬さんと教室に戻った。
「ふふっ、鳴海さんは陽茉利さん達と仲が良いのですね」
「そうかな?」
「私には仲が良さそうに見えますよ」
でも朝倉さん達は良い人そうだし、これからも仲良くしたいな。
「ちょっと陽茉利さん達が羨ましいです……」
少ししょんぼりしている様子の冬瀬さん。
俺と仲良くなりたくないと思ってるのかな? それなら歓迎だ。
「俺は冬瀬さんとも仲良くなりたいと思ってるよ」
俺がそう言うと冬瀬さんはにこやかな表情に戻った。
「では仲良くなる証として私のことを下の名前のみ・ぞ・れと呼んでください」
下の名前、みぞれって言うんだ。冬瀬にみぞれ、どっちも冬っぽいな。
「み、みぞれさん」
「はい、ありがとうございます。では私も隼人さんと呼ばせてもらいますね」
「う、うん……」
あれ? ふゆ、じゃなくてみぞれさんって見かけによらず肉食なのかな?
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