第二章 学園はもっと大変?
第10話 いざ参る〜学園生活が始まりそうなのだが?
美琴沢学園
全校生徒800人を抱えるマンモス高で、県内でも偏差値は高いが、施設の充実と待遇の良さに伴い、毎年倍率は高いらしい。あと、貴重は男がいることも関係しているのだろう。
今日はいよいよ学園に通う日である。
「隼人、私の側を離れちゃダメよ?」
「離れないよ。でも姉さん、そんなに腕に引っ付いく必要はないと思うよ?」
家から歩いて登校して来たが、ずっと俺の腕に引っ付いている。
「ダメよ。離したら隼人が襲われてしまうわ」
「うん、それは怖いね……」
姉さんの真剣な表情を見ると本当なことが分かる。
周りを見てみるとみんな俺達を見ていた。まるで獲物を狙うような鋭い視線に背筋が凍る。
「あっ!」
多くの生徒の中から見覚えのあるピンク色のショートカットの女の子を見つけた。
「朝倉さーん!」
知ってる人に会えて嬉しかったので思わず声を掛ける。
「あっ、鳴海くん……!」
朝倉さんも俺のことを覚えてくれていたようだ。
朝倉さんは優しいそうだから頼りにしよう。
そんなことを思っていたら隣から鋭い視線と、腕が痛くなった。
「ぐぬぬぬ……」
姉さんが朝倉さんを凄い見つめている。そして怒っているか俺の腕をギュと強く握ってきた。
一方の朝倉さんは苦笑している。
「ね、姉さん! 朝倉さんを睨んだらダメだよ! そんことしたら俺、姉さんのこと嫌いになるよ」
「あぅ、ごめんね隼人……。もう睨まないから姉さんを嫌いにならないで……?」
俺の言うことをしっかりと聞いてくれた姉さん。
これ以上朝倉さんと離したらまた姉さんが俺の腕を握りしめてくるので会話はこれぐらいで終わりにしておく。
「朝倉さんまた後でね」
俺がそう言うと朝倉さんはペコリとお辞儀をしてくれて駆け足で校舎に入っていった。
「いつのまにか陽茉利ちゃんと仲良くなってたの?」
さらに密着してきた姉さんがそう聞いてきた。
「そ、それは……って、え? 姉さん朝倉さんのこと知ってるの?」
「陽茉利ちゃんは優しいというかお人好しとして有名よ。おまけにあんだけ可愛いから」
なるほど。俺の目はどうやら間違ってなかったようだ。
「実はさ、学園で迷子になっていた時に助けてもらったんだよ」
あの時は本当に助かった。
「そ、そうなんだぁ。……ま、まぁ陽茉利ちゃんはギリギリセーフとして……他の女の子ともほいほい仲良くなったらダメだからね?」
「う、うん……気をつけるよ」
こうして姉さんの腕組みは職員室に行くまで続いたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます