第7話 いざ編入試験へ〜目線を感じるのだが?
あれから一週間が経ち、編入試験日迎えた。
試験会場は受験校の美琴沢学園。学園までは母さんが車まで送ってくれた。
「はぁ君、試験が終わったらすぐにお母さんに連絡してね」
「うん、分かった。じゃあ行ってくるね」
心配そうな面持ちの母さんに手を振り、校門を潜る。校舎内は広く、三階建ての建物がドーンと佇んでいた。
編入試験の内容は国語、数学、英語の筆記と個人面接となっている。
勉強は元からまあまあ出来ていたから悲惨な点数にはならないだろう。それに一週間みっちり姉さんに山を張ってもらい、教えてもらった。
母さんが言うには男は100%受かると言っていたが、そんな贔屓で俺は合格したくない。せっかくならいい点取って合格したいな。
校舎内に入ったのはいいが……。
「広すぎて試験場所が分からん……」
学園が広すぎて迷子になっている俺。地図はあるが、どう行けば分からない。
「困ったな……。あっ、あの人に聞いてみよう」
廊下を通りかかった制服を着た女子生徒に聞いてみることにした。
「すいませーん」
「はいーって……えっ、男の人!!」
振り返った女子生徒は俺を見るなり大声を出し、驚いていた。
「あの、ここの場所から分からなくて……。試験があるので急ぎたいのですが」
一刻を争う事態なので、女子生徒のこの反応は一旦、無視する。
「ああ、ここなら分かりますよ。良かったら案内しましょうか?」
「本当ですか! 是非お願いします!」
俺が急いでいる状況を察したのか、急いで案内してくれると提案してくれた女子生徒。
その後、彼女の後をついていき、無事試験会場へとたどり着いた。
改めて案内してくれた女子生徒にお礼を言おうとしたが、ペコリとお辞儀され、いそいそと帰っていってしまった。
お辞儀をするのは俺の方だというのに……。
「あとでお礼を言いにいこう」
そして俺は試験へと臨んだ。
◆
試験終了後。俺は校内を回っていた。理由は案内してくれた女子生徒にお礼をいうためだ。
ちなみに試験会場には俺1人だった。教室に1人となんとも殺風景だったが、試験自体は思いの外、解けた。
試験中、シャーペンを走らせる俺に、試験官の女性の視線があって、少しやりづらかったが。
面接も質問には全部答えられたが、途中から「好みの女性は?」 「好きな手料理は?」と試験には絶対関係ないなと思いながらと答えた。
それにしても……
「広いなぁー」
歩いても歩いても目当ての女子生徒は見つからない。それどころか人がいない。どうやら今日は学校自体休みのようだ。男の俺が試験を受けることと、何か関係あるのかな?
と、2階の廊下に差し掛かった時、声が聞こえたので、その場所へと向かう。
「本当だって! 私案内したもん!」
「はいはい冗談いいから」
「幻覚よ幻覚」
あっ、いた。
少し離れた場所にその女子生徒はいた。彼女の他にも2人ほどいて、みんなで何やら話しているようだ。
というかみんな美少女だな。思い返してみるとこと世界の女の人はみんな綺麗な人や可愛い人が多い。
俺は何やら話している3人の元へ向かった。
「本当だって!黒髪のイケメンがいたの!そして私が案内したの!」
「またまた〜」
「うそっだ〜」
背後から近づいている俺に全く気づかず、話に夢中な3人。
「本当だよ〜」
「そもそも、そんなイケメンとお近づきになれないよ。うちらみたいな——」
「そんなことないと思うよ。3人とも可愛いし」
「例えそうだとしても男がいないと話に——はい?」
「えっ、男の子人……?」
「あっ、さっきの……」
3人とも可愛いのに無自覚そうだったから思わずツッコミを入れてしまった。
「あっ、あああ」
案内してくれた女子生徒がそんな声を上げる。
と、お礼を言わないと。
「さっきはありがとうございました。おかげで試験に間に合うことが出来ました」
「あぁ、いえ。私はそんな大したことしてませんよ……」
顔を赤くし、区切り区切りに返す女子生徒。
「いや、とても助かりましたよ。おかげで俺は時間に間に合って試験を受けることができました。本当に貴方のおかげです!」
「それじゃ俺はこれで」
目的も終わったし、帰ろうとした時。
「「まっ、待って!!」」
その女子生徒以外の2人に呼び止められた。
「ちょっと一緒にしてくれない?」
昨晩の姉さん達の話を思い出した。
『女の人は男に飢えているから、なにされるかわからない』
俺は格闘技をそこそこ経験しているので、いざとなったら振り払うことはできると思う。
「わ、分かった……」
とりあえず俺はその女子生徒達の指示に従うことにした。
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