第2話 転生した新たな世界〜男女比率がおかしいようだが?
「どちら様ですか?」と俺の質問に大粒の涙を流す綺麗な女性。だって誰だかわからないんだもん。
「はぁ君、わだぢのこと覚えでないの……?」
「す、すいません……覚えていません……」
そう答えるとガッカリした表情でさらに涙を流された。なんか罪悪感半端ないな……。
「落ち着いてくださいお母様」
院長が女性をなだめる。
と、いうか……
「えっ、お母さんなの!?」
ぱっと見20代くらいなのでお姉さんかと思った。
「えっ! はぁ君がお母さんって……お母さんって呼んでくれた! ねね、もう一度呼んで!」
先ほどとは打って変わって明るい表情をする俺のお母さんらしい人。罪悪感もあるし、ここは要望に応えてあげるとしよう。
「お母さん?」
「ブフゥーー!!」
そう呼ぶと母さんが大量の鼻血を出した。
「はぁ君、さいこぉぉ~〜」
蕩けた瞳で何やら呟いている。今の母さんは幸せそうだ。
周りの看護師さんたちも頬が赤い。風邪でも流行ってるのか?
話によると、鳴海隼人は自宅の階段から滑り落ちたらしい。その時、打ちどころが悪かったらしく、5日間も昏睡状態だった。それは母さん心配するか。
「その記憶も覚えてないですか?」
「はい、全く……」
「では今が西暦何年か分かりますか?」
「2020年です」
そう答えると、吉田さんは険しい顔になった。
「……違います。今は2050年です」
「えっ……」
30年も違う……。もしかして30年後の誰かの身体にタイムスリップしたのか?
信じがたいが周りの反応から嘘ではないことが分かる。
「隼人様いいですか? 今は2050年で日本の男女比は1:100です。なので隼人様はこの日本で貴重な男の子なのです」
真剣な表情で話す院長の吉田さん。その様子から男女比が1:100なことは本当らしい。
男女比1:100……なんか変な世界に来てしまったな。
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