第6話 神
「うぉぉおおおらあああ!!!」
「攻撃が通じないからと言って自棄になって大振りを繰り返すな。この狭い場所では悪手以外の何ものでもないぞ?」
「うるせぇ!!説教なんてしてんじゃねぇよ!!くそが!」
おれがダラスと戦い始めて既に10分ほどが経っていた。
おれは慣れない剣をこの長時間全力で振り続けたことで、体力の限界が迫っていた。
体力はこの年齢の子供よりはあると自負していたが、体力があるから長く剣を振り回せる訳じゃない。
人は今までしたことが無い動作をした時、初めて学習し、そこから経験を積むことで、体力と剣を振り回す時間がイコールで結ばれる。
その辺りは割と才能なども関係してくるが、初めて剣を振るのに才能も何もあったもんじゃない。
おれはただ乱雑に、ただし全力で振り回していた
「うぉおおおお!!あああぁああ!!」
「体勢が崩れている。もっと腰に力を入れろ。剣を振り回すのはいいが、剣に振り回されるな」
「だから!!うっせぇつってんだろ、ハゲ!」
「おいおい、おれはアドバイスしてやってんだぜ?本当なら授業料もとりたいところなんだがな〜?」
「く、くそ……ハッ……ハッ……ハッ」
おれはついに体力の限界を迎え、膝に手を付いた。
もうホントにギリギリだった。
さっきまでも気合で何とかしていただけだったのだ。おれの体力はもう、限界だ。
……戦い以外の、何か時間をかせ
「休みたいならもっと敵にわからないよう休むんだな。それじゃまるで、攻撃してくださいと言っているようなもんだぞ?」
「ぐぁ!」
おれは横っ面を殴られ、吹き飛ぶ。
「うぅ!ぐっ、くそっ……」
「休むにしても、もっとやり方があるはずだぜ。例えば、お前の好きな会話で相手を油断させる、とかな?」
まただ。
こいつは最初におれの腕を斬ってから、頑なに攻撃で剣を使わない。
基本的にこいつの攻撃パターンは殴る蹴るだ。
それだけなら別にわざと生かしていたぶる趣味があると思うだけで、それだけなんだが。
こいつは教師のように、隙があったらおれに教えて、ダメなところを的確に言って、まるでおれに戦闘というものを教えているように、見本的な動きで剣を動かしたりする。
………本当にこいつの目的がわからない。
「戦い以外のことを考えるなと、最初におれは言ったよな?」
「くっ………うわああブッ!……ゲホッコホ」
おれは寝ていた体を強引首を掴んで持ち上げられ、そのまま投げ飛ばされた。
このまま寝ていたらまたあいつに投げ飛ばされる!
おれはそう思って怠く重くなっている体に鞭をうち、立ち上がった。
だが、腕がプルプルしてもう剣を持てそうもない。
むしろ今まで片手で振り回していたんだ。
よく頑張った、おれ。
「………ふん、限界か。まぁその体でよく持ち堪えたな。その意地汚さは実に見事だ。育ちの悪さが分かるなぁ〜?いや〜見事見事。よく頑張ったよく頑張った!」
………馬鹿にしやがって。
死ぬ前に、力尽きる前に、こいつに一泡吹かせることは出来ないか?
何か手段はないか?
このままじゃ絶対に終われねぇ……!
………というかこいつ、またおれの思考を読んだようなことを言ったな……?
実を言うと、さっきからおれはずっとこいつに違和感を感じていた。
こいつはおれが母さんに嫌われようとするのを、おれの顔を見てから、分かったように、おれの都合の良くなるように立ち回っていた気がするのだ。
………こいつ、もしかして
「……おい、お前。もしかして思考を読むスキルかなんか持ってるのか?」
「戦いの最中にそんなことが気になるのか?………と、説教をするつもりはない。お前の観察眼は大したものだな〜。そしてその質問の答えだが………、『はい』だ。おれは確かにそういうスキルを所持している」
やはりか。これでこいつの違和感の正体が少し分かった。
………まぁ、分かったところで状況が好転することなどありないんだが。
むしろそのせいで思考に制限をかけて、余計戦いづらくなる気がする。
厄介なスキルだ。思考を読むとかずる過ぎる。
そんなのただの雇われがもっていいスキルじゃないだろ!おれに寄越せよ!
このクソ野郎。ハゲ。変態ドS野郎!
「……ふーっ、落ち着け、落ち着けおれ」
息も整ってきたし、体から怠さを少し抜けた。
これでまた戦える。
こいつに頭脳戦を挑めば馬鹿を見るからな。
もう猪突猛進するしかねぇ!
「フッ!……らぁ!やあ!はぁ!」
「少し体力が戻ったか。結構結構」
おれは突き、切り上げ、突き、と、乱雑に振るうのじゃなく、中学の時剣道で習った技を拙いながら使う。
だが、奴は避けたり剣で払ったりと、余裕でいなしていく。
くそ、剣があいつに刺さるビジョンが全く浮かばない。
それは腕が一本ないのもあるし、片目だし、まだ7歳児だしと、いろんな勝てない言い訳はあるが、一番はおれの戦闘能力の低さだろう。
思えばおれは、異世界へ転生してから数多の主人公たちが経験してきた修行をまったくしていない。
産まれてから得意になった物は、掃除や手洗いの洗濯といった家事寄りのものばかりだ。
もっと前からおれが修行していたらあるいは
「くっ!もっとおれが強かったら……!」
「その通りだガキ!!」
「へブッ!」
おれは剣で攻撃しながら呟くと、ダラスがそれに過剰に反応してきた。
おれは勢いよく剣を弾き飛ばされ、ダラスに顎を掴まれて掲げられた。
「お前がいつ気づくかと心配だったが、問題なかったようだな。そうだ。世の中強さが全てだ。強い奴は弱い奴を従え、弱い奴は強い奴に全て奪われる!それこそが世の
奴は興奮したように、おれに熱く語りかけてくる。
こいつが一体何を目的としてこんなことをするのか、その原理は分からないし、未だ謎だが、こいつの言っていることが正しいか正しくないかぐらいは、このちっぽけな頭でも分かる。
「お前、それ、本気で言ってんの?」
「………何?」
おれはダラスを馬鹿にするような目で見て、おれが思ったことを話す。
「強者が弱者を虐げる。それが世の理だと、本気で思ってんのか?て聞いてんだよ」
「おれが思ってるんじゃなく、それが事実なんだよ。ガキにはまだ理解出来ねぇだろうがな〜?」
「それを真理と思ってるやつがいるとかおれの方がびっくりだよ。弱肉強食なんて古臭い考えをさ〜。お前の方がガキじゃねぇの?」
おれはますます馬鹿にした目、嘲るような目をして相手に言う。
「やれやれ、これだからちょっと頭がいいからって粋がってるガキはよ!」
「ぅう!カハッ、ゲホッゲホッコホ……」
ダラスはおれを勢いよく壁にぶつけ、そのまま強く押さえつけたまま、またおれに語ら始める。
「この状況を考えろよ?俺とお前、強者と弱者、力を持つ物と持たざる者、まさに世界の縮図だろ?俺はお前をどうしても誰からも何も言われない。そして俺がお前を殺そうとしても、痛めつけようと、生かそうと、全て自由だ!おれがお前の意思と関係なく、おれが全てを決定出来る!これがこの世の全てだ!………頭のいいお前ならわかるだろう?これが世界の真実なんだよ」
「違うね、ナンセンス、馬鹿、超超超馬鹿」
おれは即答して答えた。
これからはおれの思う世界の真理を語ってやろう。
「弱肉強食なんて古い。それに世界はそんなに簡単じゃない。強い者が全てを支配する?じゃあ何で大陸に国がいくつもあるんだ?一番強いやつが全てを支配するんだろ?おかしいじゃないか。弱い者は虐げられる?あのファインツ男爵?だっけ。あいつはお前よりも弱いのに、それどころかあの中では1番弱そうだったのに、あいつを虐げるどころか虐げられてるだろう?それはどうしてだ?お前の理論通りなら確実にあいつは搾取される側で、お前らが搾取する側なんだろう?おかしくないか?」
「………………」
ダラスは黙ったままだ。
続きを話せということだろうか?
じゃあ遠慮なく話させてもらおう。
まぁもっとも、お前が嫌がっても話すんだけどな!
「力だけでは世界は語れない。では頭が良ければ語れるのか?それも違う。金を1番多くもってるやつなら語れるか?違う。権力を持ってるやつは?………全部違うだろう。どれか一つじゃ世界は語れない。この全部を極めて、初めて世の理、真理ってやつを語れんだよ。………そしてこれはおれ自身の、生意気なガキの意見だが、この世の理は弱肉強食なんかじゃなく、力があるやつ、頭がいいやつ、金を持ってるやつ、権力をもってるやつ、その全てが併合する世界。………それこそが世界なんだと思う。どれか一つでも特筆していてはダメだ。仮にそんな世界があったとしたら、おれから言わせれば、その世界確実にイカレてるね」
「……………」
ダラスはおれが話終わると、顔を俯かせた。
………どうやらおれに論破されたのが相当悔しいとみた。それで恥ずかしくて俯いているとか?
やっべ……爽快感半端ない。
今までボコボコにされてた相手に、明確に勝ったというこの圧倒的なざまぁ!
死ぬ前に一泡吹かせられたらとか思ってたけど、実際は無理だと心の中では諦めてた。
それを、戦闘ではなく口で勝ったとはいえ、………やばい。この感覚癖になりそうだわ。
気持ちぃ!!!
若干テンションがおかしくなってるが、そんなことどうでも良くなるぐらい気持ちいい。
きもてぃぃぃいいいいい!!!!!!
………それにしてもこいつマジで喋らなくなったな?恥ずかしすぎてもうおれと顔合わせられないの?
そこんとこどうなのよ、詳しく聞きたい!
「………………くっ、くっふふ、くははははははは!!」
ダラスは突然顔を上げると、これ以上我慢は出来ないとばかりに、大音量で笑い出した。
「いや〜すまんすまん。本当にお前といると退屈しないな。あーいう状況じゃあ、大抵恐怖して何も言えなくなるか、俺の気迫に押されてただ首を振って肯定するか、おれの言葉を真に正しいと思うかの3つしか反応がなかったからな〜。こんな風に否定されて、言い返されたのは初めての経験で、つい笑いを抑えきれなかったんだよ、ハハハッ!」
やつはそう言っておれを壁から離し、自由にさせた。
思っていた反応と違ったことでおれは少しがっかりしたが、もしかしたら照れ隠しをしているのかもしれない。
「哀れだな〜。こんなガキに論破されて、相当悔しいんじゃないか?どうなんだよ?え?おい。あんな自信満々に話しちゃってたのにねぇ?ハハハッ、笑っちまうぜおい!ハハハハハハハハッ!くっふ、笑いが止まんねぇよ!!」
おれはそう言って、思いっきり煽る。
おれは当初の目的の、時間を稼ぐ事など忘れ、怒りに今ボコボコにされて殺されようが、おれは笑って耐える自信があった。
そのくらい気持ち良くて、何も考えられなくなっていた。
「ハッハッハ!そう笑うなよ。俺も自分が世界を語るのにどれだけ浅はかだっかと理解したがな〜?」
「………何だよ?おれを殺すのか?」
奴はゆっくりと歩いておれの側まで来た。
おれにはもう戦う気力も体力もなく、壁を背にして立っているのがやっとだった。
だからもし、こいつが殴りかかったり、剣で斬りかかったりされても、おれは無抵抗のままそれを受け入れるだろう。
だが、それも構わない。
こんなに清々しい気持ちなんだ!
もうどうなったっていいぞ!
おれはある意味無敵状態だった。今なら何でも許せそうな気がするし、いつもより速く走れそうとか、跳べそうとか、絶対無理なことまで考えてしまう。
「……………お前さ〜、家の近所に親しくしてるガキとか、女とか、そういうのいた?」
ダラスはそう、おれに問う。
この質問の意図を、おれは容易に想像することができた。
つまりは、おれの親しい人に害を与えて、それをおれに見せながら、おれを精神的な意味で屈服させるつもりなんだろう。
前世のマンガで、そういうのを主人公がやらされてるのを見たことがあった。
おれはこの質問に、ふざけたように答えた。
「さぁなぁー、どうだったかなー?いたのかいなかったのか忘れちゃった。あれ?おれって記憶喪失なのかも!やべーじゃんやべーじゃん!!すぐ治療しなきゃだよ!!」
「…………………ふん、場所の特定までは出来ないが、親しくしてるガキもいるし、じじぃやばばぁもいるらしいな?」
チッ、他のことを考えて混乱させようとかおもったんだが、全然ダメだな。
また思考を読まれた。
これにあの人たちを巻き込む訳にはいかない。
何としても、こいつの魔の手を阻止しなくては。
「お前のその読みは外れだ。おれは別に、お前の親しい奴をだしにしてお前を屈服させようなんて思っちゃいねぇよ。……………ただ、思い出しただけさ」
「思い出した………?一体、それは何だ?」
おれは少し悪寒がした。
何故かはわからないが、勘のようなものだろうか。
なにかとてつもなく嫌な予感がした。
それはあいつが余裕そうに、あるいはこちらの反応を愉しむように、唇を歪めているのも、おれの悪寒に拍車をかける。
「………一体、何なんだよ。早く教えろ!」
おれは焦りからか、少し大きな声を出して続きを急がせた。
奴は愉しそうに、ゆっくりとその口を開いた。
「お前の家がある一帯、あそこは今頃全部焼け落ちてるぜ?」
焼け落ちる………、燃やしたのか?
あの周囲一帯を!
「そんなことして何になるんだよ!!………もしかしてお前らは最初からそれが目的だったのか?おれと母さんはついで?………一体、どういうことなんだよ。説明しろ!!」
「待て待て、いっぺんに質問すんじゃねぇよ。まず俺たちの目的だが、それはお前の母親だ。依頼されたからな。『攫われた証拠を残さず連れて来い。証拠を消す手段は問わない』ってな〜。この街の領主様の決定だ。だから俺たちは確実な手段で………、つまりはあそこの周辺一帯が火事になって、『住民は全て死亡』させることにした。もちろん、念には念を入れてお前たちの代替わりもわざわざ用意したんだ。流石にもう落ち着いただろうが、部下が言うにはお前の家から半径100メートル程はほとんど全壊で、今のところ生存者どころか遺骨すら見つかってないらしい。相当派手に燃え上がったんだろうなぁ〜。おれも見たかったぜ。………と、どうだ?これが今回の事件の全貌だ」
…………………………………。
「それは…………、それは本当のことか?おれを揺さぶるためのブラフなんじゃ無いのか?」
「信用がねぇな〜。俺はただ本当の事を言ってるだけなのによ〜」
「お前みたいな奴の言う事なんか信じられるかよ。それは今でっち上げた作り話かもしれないし、嘘の情報を言ってるかもしれないし、そうじゃないかもしれない。それらを判断する材料をおれはもってない。となったら、おれは自分が信じたい方を信じる。おれは自分が大好きだからな。嫌なことからは逃げるんだ。残念だったな?」
「そうかい、そりゃまた残念だ。本当なのにな〜」
「言ってろ。それに、おれがそれを確かめることは出来ないだろう。おれはどうせ死ぬんだからな。だろう?」
「ああ、その通りだ。お前は死ぬ。あ、死んだ後に俺を呪ってくれるなよ?……ま、俺はそういうの信じてないんだがな」
「だったらそこもおれと違うな。おれは霊も信じてるし、何なら英雄譚で出てくる闇の死霊魔術とかも信じてちゃってるしな。お前と同じじゃなくてホッとしたぜ」
「おいおいお前、死霊魔術なんて信じてるのかよ!あんなの創作の英雄譚でしか出てこねぇ妄想だぞ?あんなの間に受けてるのかよ。俺は魔物でも人間でも、そんなの使ってるやつ見たことねぇぞ?お前より長く生きてる奴の言うことだ、間違いねぇ」
「おれより長く生きてるのは認めるが、おれより頭の出来が悪い奴の言うことだ。信じれねぇ」
「ケッ、頑固な奴だぜお前は」
おれたちは今と全くこの場に相応しくない会話をしていた。
こいつの行動倫理、価値観、目的、何一つ分からず仕舞いだったな。
まぁ、たった一人の子供がよくやったよな、ホント。あっいや、中身は子供って言えるか分からないけど。
でも、これだけ時間を稼いで母さんを助けられなかったりしたら嫌だ。
絶対助かってくれ。頼む。ここまでして助からないとか絶対嫌だ!
神様、おれを転生してくれた神様がいるならどうか、母だけでも助けてください。おれはどうなっても構いませんから。
お願いします。お願いします。お願いします。
おれはそうやって祈り続けていた。
「………さて、そろそろ次の段階をは
ドカーーーンッ!!
奴が話している途中で、強烈な音と共に地鳴りがし、おれは地鳴りのせいでバランスを崩し、尻餅をついて倒れてしまう。
「いっ!……いきなりなんだ!?」
「くそ!なんだ!突然地震だと?!」
横を見ると、奴も驚愕していた。
ということは、これは奴らにとっても想定外の事なのだろう。
………もしかしたら、助けが来てくれたのかもしれない!
神に祈ったら助けてくれるとか、ご都合主義にも程があるが、何だって構わない!
もしかしたら、おれも助かるかも……!
おれはそう思い、逃げる手段を窺うべく奴に視線を向ける。
すると、奴の目の色が変化していた。
普通に黒目だったが、今は紅く怪しく輝く目をしていた。
………いや?ホントに光ってるのか?
「………、なるほど。予定とは違うが、私の目的と被るな。これは実に都合がいい」
奴は何かボソボソと喋ると、今度はおれの方を向くと、おれの頭を鷲掴みにし、おれに言う。
「必ずいつかこの目を治せ。お前がこの目を治す時、お前は今よりももっと成長し、強くなっているだろう。いや、そうなっていなければ困る。この俺が認めたのだからな」
「お前は一体何を………、ぁ、ああアァァァァああああ!!!??!?」
おれは目から激痛が走り、大声で叫んだ。
目を斬られた時より、殴られた時より、蹴られた時よりも、いや、あれらとは比べものにならないぐらいの激痛が走った。
「あっッ!!!あぁぁっッ!!!!がああああああ!!!?!!?!ッッッッぐ、あぁ………」
おれはあまりの痛みに気絶してしまった。
涙と鼻水が垂れ、失禁までしてしまっていた。
ダラスはやがておれを地面に下ろし、気絶して聞こえてないと分かった上で、言う。
「君の成長を楽しみにしていますよ、本当にね。………、では、あなたが壊れてしまわない事を、節にお祈りし、今宵はここまでとさせて頂きます………。あ、また口調が戻ってる。いけないけない。………ンンッ!ゴホン………、気をつけないとなぁ〜、俺」
奴はそう言って、裏手へと続くドアを開け、そのまま闇に消えた。
そして、暫くして正面のドアから人が入ってきて、おれは救助された。
この出来事が、おれの始まりだったんだ。
ここでおれは一度壊れて、新しい自分を再構築する。
結果的に、おれを強く成長させてくれた。
………………でも、もう2度と、こんな思いは、味わいたくないと、思う。
本当に………、本当に。
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