オルカブツさんから仕事をもらったのでいかがでしょう 1回目

「迢ュ闍ヲ縺励>縺ィ縺薙m縺ァ縺吶′縲ゅ&縺輔▲縲ゅ#繧?▲縺上j」

「座れって言ってるわ。さっさと座んなさいよ」

「座れって言ってもなぁ」


 ハルトのギフトの正体を知り、ややテンションが落ち気味の僕たち。そんな僕たちとは対照的にオルカブツのテンションは高かった。「先生」と尊敬するミヤが助けにきた矢先に女性が自分に馬乗りになった。先生の前に理解習熟度を示すべく、こりゃ実戦とハッスルしちゃったもんねぇ。その結果、自分の命が助けられた。となれば、艦隊の一つや二つばかりはあるだろう。

 に、してもだ。場所が悪い。

 歓待場所はオルカブツの住む洞窟。

 「くさい」「汚い」「暗い」

 床っつーか地面はむき出しだし。ところどころ、白いわけのわからないものが落ちている。いや、なんとなく想像できてしまう。想像するのが男の性。そんな場所に座れて言われてもなぁ。ダイスはお前は良いさ。どうせミヤか誰かの肩に座るんだろう? 一方僕たちはきったねぇ地面だ。誰が座るかよ。


「蜈育函縺溘■縺ォ縺ッ縺贋ク冶ゥア縺ォ縺ェ繧翫▲縺ア縺ェ縺励〒」

「先生達にはお世話になりっぱなしで。って言ってるわ」

「わかったわかった。っつーか、なんでテメェは冒険者ギルドのお尋ねもんになってんだよ。妖鳥オルカブツって言われてるんだぜ」

「そうそう。君ぃ、一族郎党を殺して人間まで襲い掛かったんだろうぅ? ね、ねねねねね。妖鳥って二つ名カッコイイとか思ってない?」

「あー、何でも喰うって聞いたけど本当に何でも喰うのかい? ここ、鼠とか出そうだけど鼠も食べちゃうの?」

「あと、エンタルゥっていうパチもん。あれ、お前の兄弟なのか?」


 ダイスは死ぬほど面倒臭そうに僕たちの言葉をオルカブツに伝えた。すると、オルカブツはとても驚いた顔をして、手羽を振る。明らかに違う。というジェスチャーだ。


「何が違うんだよ。え゛? お前は雑食じゃなくて草食って言いてぇのかよ。おっぱいは控えめより大きめが良いんかよ」


 僕の言葉にオルカブツは目をひそめてヒソヒソと何かを言っている。ダイスもウンウンと大きく頷いた。わかった。オルカブツてめぇは貧乳派かよ。業が深いぜ。

 オルカブツ目を細めたまま洞窟の奥へ消えていった。

 ダイスは「うーん」と唸って顔を天井へ向けた。


「何だよ。ブスがさらにブスになるぞ」

「うるさいわね。こっちは事の重大さにビビってんのよ」

「んだよ、重大さって」

「……。オルカブツは仲間を殺してなんていない。人間を襲った事実は認めているけれど、誰でも彼でも不用心に襲ったわけじゃないわ」

「はぁぁぁ? それなら僕たちがもらった話の前提が崩れるだろ? 僕たちは妖鳥オルカブツ。すげぇ怖い鳥の討伐だって聞かされているのに、何なんだよ。ソレ」

「もう一つ。オルカブツのそっくりさん。エンタルゥーのこと」

「エンタルゥーがどうしたんだよ」

「エンタルゥーもすでに死んでいる。というより殺された」

「こ、殺されたたぁぁぁ?」


 僕たちの声が一様に裏返った。

 洞窟の奥からオルカブツが戻ってきた。手にはくしゃくしゃになった紙が握られている。

 オルカブツはダイスに話し始めた。とてもとても長い話だった。あまりにも長いので僕は「なげーぞ」とつっこもうとしたけれどやめた。とてもじゃないけれど、そのような空気ではない。二人の長い話が終わると珍しいことにダイスはオルカブツの肩に乗って話し始めた。


「オルカブツにはね、一羽の妹がいたの。とても美しい歌声を持つ鳥でね、多くの人間がその鳥を捕獲しようと試みたけれど見事失敗。オルカブツ達は美しい歌声と共に幸せに暮らしていたの。ところが、ある人間がオルカブツの妹に恋をしたの。けれども、人間と鳥。言葉が通じるわけがない。彼は、自分の思いを伝えるために沢山の貢ぎ物をしたわ。妹も男の世間話を聞いていたそうよ。けれど、彼女は大の人間嫌い。男は彼女に告白をしたの。彼女は言葉が通じなくてもわかるよう。ハッキリと彼の告白を断ったわ」

「それで?」

「フられて正気に戻ったのかしらね? 男は鳥にフラれた事実を受け入れられなかったのでしょう。彼は後日自分のパーティーを引き連れてオルカブツのネグラを襲ったわ。そして、一夜にしてオルカブツ達を殺して、エンタルゥーも殺されたそうよ」


 へぇ。つまり、今生き残っているのがこのオルカブツってことか。


「っつーかよ、オルカブツ、お前鳥だろ? なんでお前の仲間達は飛んで逃げようとしなかったんだよ」

「馬鹿ね、オルカブツは飛べない鳥よ。あの体形を見たら飛べないことぐらいわかるでしょう? 少しは考えなさいよ。クルクル」

「うるせぇ。僕ぁこの世界の人間じゃねぇって言ってんだろ。てめぇらのモノサシで僕と話をすんじゃねぇよばぁーか」


 やいのやいの言っている僕らにオルカブツは割り込んできた。


「蜒輔?莉穂コ九b隲九¢雋?縺」縺ヲ縺上l縺セ縺帙s縺具シ」

「僕の仕事を請け負ってくれませんか? ってあんたの仕事ったなによ。魔王が関わる仕事はできないわよ。一応私は女神様が卑しい人間に使わした高貴な妖精なんだからね」


 てめぇ一度鏡の前で立って同じ言葉を言ってみろ。恥ずかしさのあまりに死ぬぞ。

 オルカブツは必死にダイスに何かを説明している。ダイスは手でサインを送りジェスチャーをすると、オルカブツは死ぬほどいやそうな顔をしている。なんとなくわかった。あいつ、金の交渉をしているな。なーにが、高貴な妖精だろ。結局てめぇは銭ゲバ妖精じゃねぇか。どうせアレだろ? お前、オルカブツやら冒険者ギルドからもらった金を中抜きして僕たちに渡すんだろう? それやったら本当にぶん殴るからな。


「みんな、とりあえずこのオルカブツの仕事を請け負うわ」

「はぁ? お前なぁ今さっき自分で何言ったのか覚えてるのか? 魔王が関わる仕事は出来ねぇって自分の口で言ったろ?」

「そうよ。でも、これは魔王が関わる仕事じゃないわ。オルカブツからの純粋な依頼よ。ま、報酬も良いし」


 聞こえてっぞ。この銭ゲバ。

 交渉成立と言わんばかりに、オルカブツは紙の束を渡した。茶色く変色した手紙の束。中を見ると何やら文字が書いている。幸いなことに一部の文字は僕たちが生きている時代と文字に似ており、読むことができ、そして中身を理解することもできる。


「オルカブツ、お前……」

「さぁ、みんな。仕事よ仕事。オルカブツも協力してくれるみたいだから、良いこと? 冒険者ギルドからキッチリとお金を巻き上げるわよ!」


 僕はこの手紙とオルカブツの顔を交互に見返す。僕たちはオルカブツがダイスにどんな仕事をもちかけたの理解することができた。


「だ、大丈夫かなぁ?」

「何言ってんのよボブ。この仕事が成功するか失敗するかはあんたにかかっているんじゃない。クシマにかかってるんだから安心しなさい」


 安心できねぇって。


「そうだな。玖島にはほら吹きのギフトがあるからなんとかなるっしょ」


 ミヤもすげぇ安心した顔になってる。というか、お前ら全員安心した顔すんなよ。自分は関係ないからって言ってさぁ。何もかも僕が全て負担しなきゃいけないじゃないか。チクショウ! こんなことやってられっかよおおおおおお。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る