はじめましてオルカブツ いかがですか? 2回目
「ンニャアアアアアアアアアアアア」
情けないよ。本当に僕たち情けないよ。変な声が出たんだよ。股はひゅんひゅんしっぱなし。つーか、なんなんだよぉぉ。これぇぇぇ。
え? これがオルカブツ? 僕たちとおんなじぐらいの三頭身が? 黒こげビッグマックみたいな身体したコレが? ってか、鳥じゃねぇし。股の下から生えてるの、脚じゃねぇって。あれは足だ。短くて太ぇ足が生えてるじゃん。よく見たら、羽の先にも手があるじゃん。 なんなんだよこいつ! 妖鳥とかいうから空から襲ってくるかと思ったらこいつと地上で会うとは思わなかったよ。
「蜈育函縲∬ゥア縺ョ邯壹″繧呈蕗縺医※縺上□縺輔>」
オルカブツはなんかよくわかんねぇことを言いながらその場にひれ伏した。なんだなんだ? 命乞いか?
「は?」
「なんだよ。ダイス。コイツの言ってることわかるのかよ」
「わかるわよ! 妖精なめんじゃないわよ。このクルクル」
「うるせー。人間馬鹿にすんなよ」
「だ、ダイス、それよりコイツ何ていってるんだ?」
くそっ。やっぱりコイツはミヤを前にすると色目を使いやがる。ってか、なんだよ。オルカブツ、顔を上げるとまたひれ伏しだしたじゃねぇか。何なんだよ。こいつもメスか? ミヤの色気に騙された哀れな生き物なのか? ふざけんなよ。どうしてこうも人間も動物もミヤの顔を見たら発情するんだよ。こっちに来てから色々とひでぇじゃねぇか。ギフトかなんだか知らねぇけど、女がミヤに寄ってくる。頭悪いんじゃねぇか? てめぇらの頭には何が入ってんだ? 空気か?
「先生、話の続きを教えてください。って」
「先生って誰だよ」
ダイスが僕の言葉を翻訳すると、オルカブツは土下座したままミヤを指さした。
「蜈育函縺ョ諱区?隰帷セゥ繧偵?√b縺」縺ィ閨槭″縺溘>繧薙〒縺吶」
「先生の恋愛講義をもっと聞きたいです。って」
驚くとか呆れるとか、そういうレベルは通り過ぎた。なんなんだろう。初めてのAVがパケ写詐欺だったこの気持ちに似ている。
「恋愛講義を聞いてどうしたいんだよ」
「蜒輔?縲√°繧上>縺?・ウ縺ョ蟄舌↓繧ゅ※縺溘>繧薙〒縺」
「僕はかわいい女の子にもてたいんです。って」
あ、ダイスの顔から表情が無くなった。妖鳥って二つ名を貰っても所詮は俗物だったんだなぁ。オルカブツも。
「わかったよ。オルカブツ。じゃぁ、試しにダイスを口説いてみなよ」
「はぁ? なんでよ。なんで私が口説かれなきゃいけないの?」
ダイス聞こえてるぞ。お前、ミヤに口説いてもらいたいんだろ。
「ダイス、君はこの中で唯一の女の子だ。女の子に実験に付き合って。っていうのは俺も酷いとは思うけれど、そういう度量の広さも女性の魅力だと思うな」
はーい。みなさーん。聞きましたか? コイツの言葉を聞きましたかー? いいですかー? こいつはですねー。女の子と女性を使い分けてるんですよ。女性の魅力っていうときに頭を撫でているんですよ。みなさーん。どう思いますか? こうやって女の心を弄んで金をむしり取っていくんですよ。最低だと思いませんか? 羨ましい。
「わかったわよ。ミヤがそこまで言うのなら、付き合ってあげないこともないんだからねっ!」
そういうとダイスはオルカブツの前にフヨフヨと飛んでいく。ミヤが言ったことを翻訳し、さぁ自分を口説けと言わんばかりに胸を張る。お前さぁ、そういうとこだと思うよ。万年うだつの上がらない妖精のままでいる理由って。謙虚になれよ。謙虚に。
オルカブツは、仕方なく立ち上がり、ダイスに何かを言っている。口説いてるんだろうか? わっかんねぇなぁ。だって現地の言葉だぞ。いや、待てよ。なんで僕たちは今までここの人間の言葉が分かったんだ? 僕たち、スマホとかポケトークとか持ってきてないぞ。その、なんだ? ナンムが知らない間にそういうギフトでもくれたんか? そういうきめ細かい配慮が出来そうな女神には見えないんだけどなぁ。あのメスゴリラ。
とか思っていたら、ダイスは震えながら「目つぶし!」とか言ってオルカブツの目に指を突っ込んだ。
突然目を付かれた痛みにオルカブツはその場で倒れゴロンゴロンと暴れまわる。
「うっさいわね! このデブ! あんたには私のすばらしさなんてわかるわけないのよ!」
あ、ダイスが泣いてる。
「芋臭い処女っぽさがサラっぽくてよいですねって?」
事実だろ。
「ふざけんじゃないわよ! 私はこう見えても男を千切っては投げ、千切っては投げを繰り返して千切り投げ捨てられた男たちは今は山となり私を見守っているのよ!」
馬鹿野郎。男が山になるわけねぇだろ。バカにだってわかるわ。そんなこと。ホント何言ってんだ? こいつ。
「モテナイ男が気安く私に声をかけんじゃないわよ! 恥を知りなさい」
ダイスはそう言うとオルカブツの目をつぶしている。っつーか、わかったよ、お前も彼氏できたことがないんだな。見栄をはるんじゃありません。貧相な体が余計に貧相に見えますよ。それにね、ホラを吹くんじゃありません。ホラを吹き続けると僕みたいになりますよ! ホラ吹きは僕の専売特許だから。本当、痛いよなぁ。こいつ。
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