ヨクルトの町 いかがですか? 1回目
異世界初心者 新住民が必ず訪れる町がヨクルト。
僕たちはの周りを忙しなく回る妖精が言うには、この町にはこれからの冒険に必要なものが全て揃っているらしい。
ポ●モンのマ●ラタウンが女神ナンムの部屋なら、ト●ワシティがこのヨクルトの町みたいなもんか。
冒険に必要なものが僕にはよくわからないが、まぁ別にいいだろう。
だが、問題なのが、この町の人間は異世界からやってきた僕たちに誰も声をかけない。それはあまりにもドライすぎやしないかい?
ほら、●キワシティなら主人公が声をかければすぐにみんな反応してくれるじゃないか。
見てごらんなさいよ。僕が「やぁ」って女性に声をかけたら死ぬほど嫌そうな顔をしてくる。あぁ。仕方がない。僕にそんな顔をする女の顔面偏差値は49だったとしても女子力 というか男を見る目っていうのはないね。Fランだよ。Fラン。
Fランだから仕方ないよねぇ。君よりも偏差値の低い30ぐらいのいっつも日陰に生きてきた隠キャに嬉々として声をかける。うん。これはある意味世界平和だ。モテない男が異世界でモテる。多少レベルは低かろうが互いにwin-winだ。ぼかぁ、このフェアトレードのような循環は否定しないさ。
「クシマ、人があんたに声をかけないのはアンタの股間が濡れているからだと思うわ」
黙れ妖精。これは僕のおもらしじゃない。僕の生物的な危機管理能力と言って欲しい。
「町の人じゃなくて、他のみんなもそうよ。さっきからアンタと他人のふりをしてるじゃない」
見れば、ミヤもボブもタカチーも僕から遠く離れたところで三人で仲良く町を探索している。ミヤに声をかけられた女なんざ、顔を赤くして、おぉぉい! 積極的だな。ボディータッチしてるぞ。ボディータッチ。自分の乳袋をミヤの腕に擦り付けて。「はぁい? どう? 私の乳房。A5ランクの肉よりも味わいがあるわよ」みたいな顔して話しやがってよぉ。羨ましい。実に羨ましい。そのおこぼれをもらおうとしているボブとタカチーが憎らしい。
これは教育的鉄拳制裁が必要だ。あぁ。僕を仲間外れにするという日本の教育機関が絶対に許さない「いじめ」に発展する種火だ。
いじめ! ダメ絶対! 僕をひとりにしないで!
「きぇええええええええええええい!!!」
濡れた股間が冷たくなっていくのがわかった。奇声をあげる僕にミヤの顔は引いていた。乳袋女は逃げ出した。ボブとたかちーは他人のふりをしようとしていたが、ミヤが許さなかった。
「イジメええええ。ダメぜったああああああい!」
「来るな! 玖島! 俺たちはションベン垂れた奴と一緒に歩きたくないいいい!」
「うるせぇ! 僕におもらしさせたくなければライ●リー大人用パンツを1ダース持ってこい! そうじゃなきゃ僕の尿管をジャバさせるぞ!」
僕は公衆の往来でとち狂ったことを叫んでたと思う。
見知らぬ者は「何あれ?」と指をさし、同胞と思しき人間は顔を真っ赤にして「恥だ」やら「末代まで祟られろ」とか物騒なことを言っていた。
そうだ。二十歳を過ぎてお漏らししてるからなんて恥だよ。生き恥だ!
僕の友人はね、僕の生き恥をどう思ってるか分からない。
だけど、タカチーの
「ボブ! 体当たりだ!」
「ボッボブチュゥ!」
ポケ●ンマスターのようにボブをけしかけ僕の背後からタックルが襲い掛からせる。
地面にひれ伏す僕。体重0.1tのボブ。
僕の股間から嫌な感触があった。末代まで祟られろって?
ばかを言え。今、この瞬間僕は末代になったんだよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます