12●買っても借りても同じなら、電子貸本屋でどう!?

12●買っても借りても同じなら、電子貸本屋でどう!?





 電子本を販売するサイト、ネット検索すれば、ドッ! と出てきますね。

 ほとんどコミックばかり、今や百花繚乱の感があります。

 それだけ繁盛しているということでしょう。

 ただし私は未経験です。電子本のお値段が正価より安いとはいえ、紙の本の中古品だと一冊二百円とか百円程度で買えますから。

 それまで待とうホトトギス……

 悪い客ですね、我ながら。

 というより、私みたいな客はそもそも相手にされていないでしょう。

 不勉強ゆえ、ほんの数日前まで知らなかったのですが……


 電子本で買っても、そのデータの所有権は移転しない。

 客が手に入れるのは、データの“利用権”だけなのだ。

 

 という事実に驚いたわけです。

 てっきりデータをPDFみたいなのでダウンロードして、未来永劫、自分のパソコンで見られると思ってました。読み飽きたらそのデータを、中古電子コミック店みたいなお店に安く転売するのだろう……と。

 そうではなかったのですね。

 購入した客は、電子本のお店側が管理するサーバーみたいな場所に置いてあるデータを、ずーっと閲覧できるだけ、だったみたいです。

 私の不勉強、お許し下さい。

 パソコン下手なので、何かの会員登録 とか、“ファイルのダウンロード”などに遭遇すると、怖くて前に進めないのです。足……じゃなくて、指がすくんでしまう。

 パスワードなんか、すぐに忘れてしまいますからね。

 にしても、なーんだそうか。


 電子書籍を販売するお店は、ほとんどその実体は“電子貸本屋”だったのですな。

 借りる期間が無制限なだけで。

 でも、これってリスクです。

 買ったはいいけど、お店側が経営難になってサービス停止したら、これまで購入した電子本は浦島太郎の玉手箱。

 あーらフシギ、煙と消えてしまうではないですか。

 実際、そんな、笑えないおとぎ話も起こったようですね。


 それならば……


 最初から、電子貸本屋でいこう!

 ……と、発想を転換するお店が台頭してきても不思議はありません。

 通勤電車の中に、ちょっと汗っぽい感じの四つ足のお兄さんが登場するCM。

 お疲れ女子のために、イケメン妖精様がマンガをお届けになるCM。

 電子コミックのレンタルです。

 たぶん、実際に“データを貸す”のではなく、決められた期間、“閲覧を可能にする”ということでしょうね。

 スミマセン、いい加減な説明で申し訳ありません。

 パソコン下手なもんで、間違っていたらメンゴです。

 我ながら理解力が不足していると思います。何卒ご容赦を。

 で、それらのサイトでは、百円+税で、48時間のレンタルが最小単位みたい。

 たぶん、目下大ヒット中で正価で売れる人気コミックではなくて、ちょっと昔に、紙のコミック本でしっかり販売して諸経費を回収し、今は絶版か、目立たなくなった秀作とかを発掘して、短期レンタルに出している……といった印象です。

 比較的最近の人気作は少し高く、三百円+税で二泊三日、閲覧可能なようです。

 いやいや、お安いですよ!

 紙のコミックを売っている書店さんとの利害関係の調整をどのようにされているか、気になりますが、怒られずに済む仕組みになっているようです。


 ともあれ、“電子本で、安価にして短期間の閲覧を可能とすることで対価を得る”ビジネスが成立してきたみたいですね。

 ある意味、昭和三十年代の貸本屋の再現です。

 これ、便利。

 なによりも、実物の本でないから、返す手間がゼロ。

 正規の電子本の購入よりも、はるかに安い。

 たとえば紙の本を購入しても、ずっと一生手元に置くのではなく、数か月で古本屋に処分することも多いでしょう。そういうことなら最初から電子本で、短期間で安く読めればいいわけですね。


 で、そうした電子コミックレンタルサイトのトップページを見ると……

 “ノベルス”のタブが見つかりました。

 おお、そうか、マンガだけでなく小説本もレンタルにかかっているのか。

 これ、かなり興味を引きます。

 小説もこのレンタル(閲覧許可)ビジネスに乗っかるのではないか、たぶん実験的に試みられているのですね。


      *


 そこで、前章で述べた、もうひとつの“実験的な試み”を思い出してみましょう。


 A「出版社の電子本販売サイトで、“同人誌・個人出版”が電子本で売られている」


 これ、紙の本を扱う本屋さんから叱られない仕組みですね。

 出版社が電子本だけを作って、本屋さんをスルーして読者へ直販するのでなく、あくまで、同人誌を作って売りたい人に“場所貸し”をしているだけなんですから。

 あの同人誌即売会と同じことです。販売ブースを提供しているだけ。


 そこで、先ほどの“実験的な試み”です。


 B「コミックのレンタルサイトで、ノベルスもレンタルに供されている」


 AとB、この二つの“実験的な試み”を結び付けたら、どうでしょう。


「電子本の“同人誌・個人出版”を、ネットで安価にレンタル(閲覧許可)する」


 これ、できたら面白いと思います。

 あくまで“タラレバ”の仮定の話ですよ。

 “こうなる”と断定するものではありません。

 私の個人的な創作的妄想の話です。根拠のない夢物語です。

 その点、どうかご了承下さい。


 つまりですね……


 かりに、“書く読む”という名の無料小説投稿サイトがあるとしましょう。

 とても、よくできたサイトです。

 作品のタイトルページ一枚で、作者からのキャッチフレーズ、簡単なPRコメントもしくはあらすじ、そして読者からの★評価とレビューコメントがあり、本編の目次を俯瞰できます。

 あの、“仮称ママゾン”のブックストアのページと、中身はかなり似ています。

 いや実に、“書く読む”はよくできたサイトだと思いますよ。

 このまま、電子本として販売できるだけの文字要素が備えられているんですから。

 ただ大きな違いは、無料なだけです。

 とすると……

 この、“書く読む”サイトの隣に、ほぼ同じ文字要素でできたコピーサイトを置き、それを部分的に改造して、有料で“借り読む”サイトとして設置することができたら……という発想が導かれますね。


 どうなるでしょうか?



 次章に続きます。







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