第6話 親戚の子供に大事なコレクションを破壊されて

私の名前はノゾミ 32歳の 漫画家だ有難いことにそれなりに

 売れているので、この年で独身でもまったく焦りも無く

 実家でのんびり、趣味に没頭できた


 今日は私の祖母のお葬式、少し悲しく寂しいが

 102歳の大往生だ、祖母も満足している事だろう

 そんな祖母の葬式だしもう、親戚一同が一気に集まる

 式は近くの斎場でやるが、親戚の子供などは

 家で預かる事になったのだが

 それが悲劇の始まりだっった


 私の趣味は人形集め、人形と言ってもリカちゃんとか、バービちゃんとかではない

 一般的に言うアンティークドール、それなりにお金もかかるし

 とても繊細だ、とてもじゃないが子供の目に入るところには置いておけない

 コレクションルームに全部集め、部屋には侵入出来ないようにカギをかけ 

 万全の態勢で私も式に参加したのだけれど


 式が終わり玄関に入ると、、、え


「なんで、、」玄関に転がる、私の人形、、暫く呆然とフリーズしていたが


 正気に戻った私はコレクションルームにダッシュする


「ああああああああ」


 まさに目を開けていられない惨状、、コレクションを綺麗に飾ってあった棚は全部倒れ

 人形はほぼ全滅状態、、、私の目から涙があふれ止まらなくなっている

 誰がこんなことを?、その答えは直ぐにわかった


「あらあら、タケシちゃん、たくさん遊んだのね」そう半笑いの従妹カオリが

 息子のタケシの頭を撫でていたからだ

 その光景を見た私は勿論切れ


「ふざけるな、、全部弁償してもらうからな」


 そう私がどなると、カオリも切れ


「ちょと、子供のしたことでしょう、そんなに目くじら立てないでよ」


「ああ、、子供のしたこととか関係あるか」そう怒鳴りながらカオリに飛び掛かろうと

 したところで、カオリの旦那のトシアキさんが部屋に入ってきて止められた

 トシアキさんは話を聞いてここに来たようなんだけど

 部屋の惨状を見て、絶句


「これは、、、ひどいな」「あの、、申し訳ない、勿論弁償する

 おい、カオリお前からも謝らないか、タケシお前もなにやってるんだ」


 そう言うと、タケシの頭を殴り、カオリの頭を力ずくで下げさせる

 トシアキさんの姿に、私の頭も少し冷えてくるのだが


「ちょと、やめてよ、子供のしたことに大げさすぎよ」


 カオリのずれた言葉に、私もイラっと来たが、トシアキさんの方が速かった


「お前、ふざけるなよ、、もういい、もう口を開くな、どれだけ常識が無いんだ」


 まったくだよ、昔からこの女はそうだった

 カオリを睨み黙らせると、トシアキさんは私の方を向き

 頭下げながら


「本当に申し訳ない、さっきも言ったけど弁償するから、どれくらいなのかな?」


 トシアキさんには申し訳ないがカオリには事の重大性を解らせる為にも

 私のコレクションの価値を少しは教えておくか


「詳しくは、これから調べないと解らないけど、数百万になるのは間違いないと思う」


 トシアキさんは絶句して、言葉も出ないようだが

 カオリはまたもや切れると


「ふざけないでよ、、いくら頭にきたか知らないけど、ぼり過ぎよ

 この、性悪、、あんた、漫画で稼いでいるんだから、ちょとくらいいいでしょう

 うちは、そんな金、絶対に出さないからね、絶対よ」


 トシアキさんはそんな、カオリをみてドン引きしていたが


「その、、ノゾミさん、確かに高すぎなんじゃないかな」


 そう遠慮気味に言ってくる、まあ確かに、私の趣味は特殊で

 その価値は、殆どの人には解らないだろう


「どっちにしても、部屋をかたずけないと、細かい被害は

 解らないし、後日詳しい明細はだしますよ」


 部屋のかたずけなど、トシアキさんや親戚が手伝うと言ってきたが

 すべて断った、当り前だ、私の可愛い人形たちをゴミとして扱うのが

 目に見えている、この子達との最後は私だけでしなければ

 私はかたずける前に、証拠の写真を撮りまくり

 かたずけも仕事の合間にやっていたので随分かかったが

 そのおかげか、気持ちも随分んと落ち着いてきた


 四十九日もすぎた所で、明細が纏まったのでいつでもいいから 来てくれと

 言ったら、じゃあ次の休日に伺うと返事があったのだが

 なんと、カオリとトシアキさんだけじゃなく、トシアキさんの

 両親までついてきた、、なんでだ?

 トシアキさんは私の顔を見るなり、すまなそうな顔をしていたので

 トシアキさんの考えじゃなさそうだ、、するとカオリか?


 居間に全員で座り、お茶を母さんが出し終わるとすぐに

 トシアキ父が、機嫌が悪そうに私に言ってきた


「その、確かに孫が暴れたのは間違いないようですが

 ちょとした悪戯に数百万は、さすがにいかがなものですか?

 申し訳ないがお宅様の、常識を疑ってしまいますよ」


 ははあ、なるほど、カオリはそう言って義理の両親に助けを求めたのか

 カオリを見ると、ニヤッと私に笑いかけてくる

 そうか、この人数で私に圧力をかけて少しでも安く

 いやそれどころか子供の悪戯だからと。うやむやにするつもりなのだろう

 私はトシアキ両親に頷くと


「ちょと待ってて貰えますか」そう一言断ると部屋に戻りノートパソコンを持ってくる


「よく見てください、、、これが私のコレクションルームです、、、いいですか

 次にこれがタケシ君が暴れた後です、、、どうですか?

 ちょとした悪戯ですか?」


 どんな話を聞いてたか知らないが、破壊された部屋のあまりの惨状に

 トシアキ両親は絶句してる、、まあ孫がちょと、

 おいたしたくらいの考えだったんだろうな

 

 トシアキ両親はお互い見合うとカオリを睨み、その後すぐに

 私に頭を下げてきた


「本当に申し訳ありません、、どうも私達の認識が軽かったようで

 何と言っていいか、、本当にお詫びのしようもありません」


 そうマジ土下座をしてきた、いや孫のしたことでそこまでしなくても

 私の方が、恐縮しちゃうんだけど、

 だがなんだカオリのその不貞腐れたような顔は

 イラっと来た私は、更なる爆弾を落とすことにした


「まあまあ頭を上げてください、、、確かに子供のやったことですし

 ですがね、、この惨状見た後に子供を叱りもせずに

 タケシちゃん沢山遊べてよかったわね、、

 そう言った発言は私の理解がおよばないどころか

 もう、なんて言ったらいいか、、どうおもいますか?」


 おお、、トシアキ母の目力すごいな、もう少しでカオリを殺せそうだ

 頑張れ、、心の中で応援していると、トシアキ母が


「カオリさんどういうことなの?、全然話が違うじゃない

 何とかいいなさい」


 カオリはもう下しか向けず、それでも小さな声で反論してくる

 おお、さすがカオリだ根性あるな


「でも子供のしたことだし、そんな責任とか大人げないというか」


 まだ子供のしたことで逃げるつもりなのか、私は呆れながら


「確かに子供のしたことだし子供は許すから、親が責任を取りなさい

 親が責任を取らないなんて、それこそ大人げないわよ」


 私の言葉にトシアキ父がうなずき


「そうだ親が責任を取るところを子供に見せなくてどうするんだ

 責任を放棄するところを子供に見せるんじゃない」


 トシアキ両親に睨まれ、カオリは何も言えなくなるが

 そこで私は出すのを忘れていた請求の明細を出す事にする


「あの、遅れましたけど、これが被害の明細ですので」


 私の出した明細に全員が言葉も出せなくなる

 それまで空気とかしてたトシアキさんが、震えながら口に


「その、、ノゾミさん本当ですか?、、あの申し訳ないんですけど

 800万って、、さすがに信じられないっていうか」


 そのトシアキさんの言葉を皮切りにカオリも息を吹き返したようだ


「そうよ、、こちらが壊したからって、ふざけた値段つけないでよね

 どこまで性根が腐っているのよ、トシアキさんこんな奴に

 一銭だって払う必要は無いわよ」


 カオリを冷ややかに見つめているが、トシアキ両親も

 あまりの高額に、私にも疑いの目を向けてくる


「はーー」私はワザとらしく溜息を付くと


「トシアキさん、私の言う通りにググってもらってもいいですか?」


 トシアキさんは、戸惑いながらも頷き、スマフォを取り出してくれた


「アンティークドール、、19XX年制作、ジュモー・ゴーチェ・ブリュで検索してみて」


 トシアキさんは頷くと、すぐに


「なんかいっぱい人形が出てて来た」画面を見た私は


 人形の一つを指さし、これ私が持っていた奴だ、そういい証拠に

 PCで前に取っていた画像を全員にみせると


「トシアキさんその人形の買い取り値段見てみて」


「え、、、24万、、、」ようやく私のコレクションの価値がどれほどなのか理解できたのだろう

 

「それ買い取り値段だからね、、私が買ったときはその倍はしたから」


 全員が蒼白になる


「明細にどんな人形かも書いているんで、遠慮なく調べてもらって構わないから」


 硬直の取れたトシアキ両親がまたマジ土下座を再開する


「本当に申し訳ありませんでした、、責任を持って弁償させますので」


 慌てたトシアキさんも、隣のカオリの頭を力ずくで抑え土下座にくわわる


「ノゾミさん勿論弁償させてもらうんだけど、、そのあまりにも高額で

 分割でお願いできないかな?」


 分割か、、、じつはもうお金にはそれほど、こだわっていない

 あの子達を失った悲しみは、お金じゃ癒せない

 したいのはあの子達の復讐だけ、そのための請求なのだから


「全額一括でお願いします、私もそうですけど家の両親も

 もうカオリとは絶縁するんで、分割とかでズルズルしたくないんです」


 突然の絶縁宣言に、カオリはパニックになったのか


「ちょとなに大げさにしてるのよ、、ごめん謝るから、ねえ」


「カオリ、勿論二度と敷居を跨がないで貰いたいけど

 叔母さん、あんたの母さんも、恥ずかしいから二度と家に帰ってくるなって

 言ってるから、ちゃんと空気読んでね」


 まあ当たり前だろう、恥ずかしいかもしれないけどそれより

 私の被害額を叔母には正確に伝えている

 カオリが泣きついてきて、肩代わりとかさせられるのは絶対にごめんだろう

 カオリは泣きそうになってるが、そんなカオリをみるトシアキ母の目線には

 殺気が入り始めたように見える、いや私がそう思ってるだけなんだけど


「解りました、、トシアキあなた達にあげた土地を売りなさい」


 トシアキ母の宣言にさすがにトシアキさんも素直に頷けず


「いや、、いくらんでもそれは」


 口ごもるトシアキさんに、カオリも加わり


「そうですよ、いくら何でも、そこまで、第一、あの土地を売ったら私達家族は

 どこに住めばいいんですか?」


「そんなの、私達と同居に決まってるでしょう、あなたに嫁のいいえ人の道から

 教えます、これは決定です、トシアキ解りましたね」


 おおぉ、私が思ってたより、厳しめの罰がカオリには下されるようだ

 トシアキさんも嫌なのだろうが

 両親は引きそうにない、この場で絶縁か同居のどちらかを選べと言っている

 トシアキさんは渋々同居を選ぶとカオリを睨み


「家と土地を売る、、両親と同居しろ、いやなら離婚だ」


 カオリはもう逃げる実家もないのだ、頷くしかなかった


「カオリさん、今日からビシビシ行きますからね、あと孫のタケシも

 私たちが教育します、あなたには任せれれません」


 甘やかしていた息子を取り上げられ、厳しい義両親との同居

 その上、実家かからも絶縁状態、、、想定以上

 あの子達の無念もこれで晴れただろう

 この先、、何十年もカオリが苦しむと思うともう

 

 最後だし、がっくりしているカオリを慰めてやるか

    

「カオリ、どんまい」最高の笑顔を見せてやった。


読了ありがとうございます

You Tubeでも配信中ですので

よろしければそちらも覗いてみてください

https://www.youtube.com/channel/UCqYZ2G81hDAyyJm1VkUWuEQ

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