第3話 アレルギーを好き嫌いだと、言い切る教師に娘を殺されかけて

私の名前はノゾミ 35歳 夫と娘と暮らす

 普通の専業主婦だ

 夫とは仕事場の上司の紹介で知り合ったのだが


 夫婦仲にも問題なく、すぐに娘にも恵まれた幸せな生活を送っている

 ただ娘のカオリには、小麦アレルギーがあり、パンを食べる事が出来ないのは

 もちろんなのだが、小麦を使った石鹸や製品を使う事もできない

 

 先生の指導のもと治療もしているが、今の所治らないままだ

 まあ、成長するとともに、改善する事もよく有るとも

 先生は言ってくれてるが、どうなるか分からない


 そんなカオリも今年で10歳になる

 小麦粉アレルギーはいまだに治らないが


 それ以外は、健康に育ってくれている

 学校や担任のマリエ先生もアレルギーにちゃんと理解があり


 娘もマリエ先生が大好きで、とても楽しい学校生活を送っていた

 ところが、ある日そんな平和な生活にある変化がおきる


 おめでたい事に、担任のマリエ先生に妊娠が解ったのだ

 もちろんそのまま、担任を続ける訳が無く

 しばらくすると、産休に入ってしまった


 娘のカオリは、残念がっていたが、こればかりはしょうがない

 本当におめでたい事なんだし、マリエ先生には丈夫な子供を

 安心して産んでもらいたい


 そうなると、勿論、担任が変わることになり

 トシアキと言う男性教師が、新しい担任に付くことになった

 トシアキ先生はどうも、熱血というか指導に熱が入ることが

 多いらしく、生徒の受けはちょっと微妙だったらしい


 まあ、こちらとしては、問題なく指導してもらえれば

 何も、言う事がないのだが

 ある日事件は起きた


 家で洗濯物をほしている時、スマフォの着信音が響く

 見た事もない、番号に一瞬、何処からだろうと?

 

「こちらは✖️✖️総合病院の看護師長をしております○○ともうします」


 そう丁寧な挨拶で始まった会話に、すぐに私の顔は青ざめることになる


「解りました、すぐに、そちらに向かいますから、娘の事をよろしくお願いします」

 

 そう、答えるが私の頭の中はもう混乱でちゃんと物事が考えられない

 カオリがアレルギーの発作で病院に連れ込まれた

 いったい、どう言うことなんだろう?

 疑問と、悪い予感に、混乱したままタクシーで病院に向かう事にする


 病院につくと、すぐにICUに案内され

 病床で点滴と酸素チューブを鼻につながれ、まだ意識のない娘が

 ぐったりと眠っていた


 私が言葉も出せずに、立ち尽くしていると

 付き添いで、付いてきてた保険の先生が謝罪の言葉を私に


「申し訳ございません、じつはーーーーー」


 保険医の報告は衝撃的な物だった


 事件のあらましはこうだ


 今日の給食の時間、カオリは小麦粉アレルギー当たり前だがパンが食べれない

 献立を見て、パンが出る時は、私がお弁当を作り娘に渡していたのだが


 一人、お弁当を食べようとする、娘をみてトシアキ先生が

 こう言い出したらしい


「なんだ、一人だけ特別扱いか?・・・なんでみんなと同じ

 給食が食べれないんだ?」


 そうきつく、娘に迫ったらしい

 カオリはビックリして固まったしまったらしいけど

 カオリのアレルギーは同級生にも知れ渡っている


「先生、カオリちゃんは小麦粉アレルギーでパンが食べれないんです」


 そうA子ちゃんが言ってくれて

 周りの子たちも頷いてくれたんだけど

 トシアキ先生は納得できず


「本当か?・・・ただの食べず嫌いなんじゃないのか」


「いいえ、先生、私は小麦粉アレルギーで食べちゃダメだって

 お母さんに言われているんです」


 そこで、ようやくカオリも私の言いつけを思い出しそう先生に反論するが


「そうなのか?・・・パンを食べて

 アレルギーの発作が出た事があるのか?」


 カオリは、首を横に振ると


「いいえ、ありません」そう不安そうな顔で答える


 その言葉を聞いたトシアキ先生は、高圧的な声をあげると


「ほらみろ・・1回たべてみろ、案外平気なものなんだぞ

 食べてるうちに、問題なくなるもんだ」


 そう言うとパンを、カオリに強要したらしい

 しばらく困った顔のまま、どうしていいか解らず


 周りをキョロキョロしていたようだが、諦めたのか

 パンを一口、口に含む


「おいしい」初めて食べるパンにカオリは感激したみたいで

 そのまま一気に食べきってしまったようだ

 その様子をみて、満足したのかトシアキ先生は


「どうだ?・・・たんなる食わず嫌いだったろう?」


「はい」カオリは微妙な顔で頷いていたらしい


 ことが急変したのは午後の事業中だった

 カオリがいきなり意識を失い倒れ

 全身には蕁麻疹、呼吸はヒューヒューと苦しそうだ


 誰がみても尋常じゃないのがわかる

 トシアキ先生がカオリを抱き上げ、保健室に連れていく


「トシアキ先生・・・・どうしたんですか?」


 保険の先生はカオリをみた瞬間仰天し顔色を悪くし始め


「いや・・・・解りません、授業中いきなり倒れまして」


「うそだよ・・・先生がカオリちゃんに無理やりパンを食べさせたせいだ」


 誤魔化そうとする、トシアキ先生の言葉に

 心配して付いてきたA子ちゃんの言葉が、かぶさる


 A子ちゃんの言葉を聞いた、保険医の先生の顔は険しくなり

 血の気が引いた青から一気に真っ赤に


「なにしてるんですか?・・・・この子を殺す気ですか?

 もういいですそこに寝かせて、すぐに救急車呼んでください」

 

 そう、一気にトシアキ先生に怒鳴る

 トシアキ先生は、反論しようとしてるのか

 すこし、口をもごもごしていたらしい

 その姿に保険医は切れ


「救急車を呼ぶことも出来ないんですか?

 トシアキ先生、カオリちゃんが死んだら

 あなたは殺人犯ですからね、それがいやなら今すぐに動いてください」


 保険医の切れ具合に、ビックリしたのか

 トシアキ先生は、すぐに教員室にもどり電話をかけ始めたらしい


 そこまでの経緯を聞き、私の目からは涙が止まらなくなっていた

 目の前の保険医の先生につい感情をぶつけたくなるが


 この先生は悪くない、それどころか、カオリのアレルギーを

 理解してくれて、いつも気を使ってくれていることは解っている

 頭に血が上り切っているが、なんとかそれくらいは考えることができた


 だが私の理性がなんとか、持ったのはここまでだった

 そのすぐ後に、校長先生に伴われてトシアキ先生が

 やってきた


「なにやってるんですか・・・この人殺し殺人犯」


 しずかな病院に私の金切り声が響き

 周りの患者さんや看護師さんの視線が刺さる

 そのころになると、担当の先生も来ていたので

 先生は、私に目配せすると


「ノゾミさん、お気持ちは解りますが・・・すこし声を押さえてください」


「でも先生・・・カオリがカオリが」


 私が興奮して、声がまた大きくなりそうになるが

 そこで先生に手で制される


「確かに殺人未遂ですが、今の所命の心配はありません

 カオリちゃんはもう大丈夫です、落ち着いて話をしましょう」


 私と先生のやり取りを、空気のように聞いていた

 校長先生がここで口をようやく開く


「大変申し訳ありません、どうも認識に齟齬があったようで、その

 このような事になり・・・・トシアキ先生あなたからも・・・さあ」


 校長先生にうながされ、顔を青くしたトシアキ先生が


「このような結果になり、申し訳ありません・・・ですが、私は生徒の事を思い

 彼女の将来の事を心配した、結果の事故です、それだけはご理解してください」


 なんだ、そのふざけた言い訳は

 そう怒鳴りそうになった時

 先生がまた私を制すると


「失礼だが、あなたには、アレルギーに対する専門知識があるのですか?」


 先生の静かな問いかけに、顔をそらすと


「いいえ・・・ありません」


「ならあなたの、アレルギーに対する知識がなぜ正しいと確信したのですか?」


 トシアキ先生はしどろもどろになりながら


「それはその・・・経験というか・・・」


「思い込みによる、間違った知識で

 子供たちを指導なさるおつもりですか?」


 そう先生に言われると、もう何も言えなくなったようだ

 先生のおかげでかなりスッキリしたが、問題は終わっていない


「校長先生、申し訳ありませんが

 今回の件では学校とトシアキ先生を

 訴えさせていただきます」


 私の冷たい宣言に、校長先生とトシアキ先生は青ざめ

 言葉も失うただ保険医の先生だけは、頷きこう言ってくれた


「はい、当然のことです、正しいアレルギーの知識の周知を

 してこなかった学校も責任をとらなければなりません


 今後は、私が責任をもちまして、知識の周知と対策を

 取りたいと思います、対策案がまとまりましたら


 改めて、お伺いさせてください、本日はこのような事に

 なり、申し訳ありませんでした」


 そう言い切り、もう一度私に、頭を下げてくれた

 その、姿を、校長先生と

 トシアキ先生は呆然と見る事しか出来ないようだった



 その後のことだが、結局訴えは取り下げた

 トシアキ先生は別の学校にいき、校長先生と保険医が一緒に来て


 改めての謝罪と、アレルギー対策を約束してくれたからだ

 不満はあるが、保険医の先生の真摯な態度と対策に

 私や夫も満足したからだし


 もう少ししたら産休を取っていたマリエ先生も戻ってくる

 本当ならそのまま育休を取る予定だったのだが

 今回のけんで校長先生に泣きつかれたんだろう


 本当に悪い事をしてしまった

 マリエ先生と保険医のお二人に悪くて

 これ以上は問題を大きくするのは止めようと夫と話し合った


 風の噂だとトシアキ先生は新しい赴任先の学校で

 今回の事件を何処からか、かぎつけた父兄に

 アレルギーをもつ児童を殺しかけたと


 問題視され、結局は自己退職したらしい

 その後の事は知らないが、もうなにも感じなかった。


【後書き】

最後まで読んでくださり、ありがとうございます

今回はアレルギーのテンプレをやってみました

こんな物かなとも、思うんですけど

なんかいい感じの落ちがうかびませんでした

次は何にしようか考えてませんが

よろしければ、次回もよろしくお願いします   


読了ありがとうございます

You Tubeでも配信中ですので

よろしければそちらも覗いてみてください

https://youtu.be/ylp5Plfumho

ニコニコ動画版はこちらから

https://www.nicovideo.jp/watch/sm43832904?ref=garage_share_other

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