櫻井とりお「虹いろ図書館のへびおとこ」(河出書房新社)

図書館が好きです。

本が好きなので、単純に読む本がたくさんあるってことでうきうきするのもあるけれど、静かな雰囲気とか本がたくさん並んでる景色とか(結局、そこか!)、座り心地のよいソファとか、みんな好き!

でも、利用者として行っているときは、あんまりそこにいる人たちを気にすることはなかったかも。

でも、「虹いろ図書館のへびおとこ」を読むと、改めて「居場所」としての図書館を意識しました。

公共図書館って、いろんな人が、いろんな理由で、利用しますよね。

ほのかみたいに、どこかから逃げて行き着いた人たちもきっといるでしょう。


「他人のことって、知ろうと思わなければ全然わかんない。」(p.164 l.5)

「その人たち全員に、そうしたかったり、そうしなきゃいられなかったり、それぞれにちゃんとした理由があるんだ。

 あたしにいろいろあるのと同じで、みんなにもそれぞれ、ひとりひとり、いろいろな事情がくっついてるんだ。

 そんなのよく考えたら当たり前。だけどあたし、今まで考えたことなかった。」(p.164 l.10-14)


ひとりで読書することが多い図書館を、自己肯定の機会だけじゃなくて、人とつながる「居場所」として描いているのが、すごく素敵だなぁと思います。

話かけるわけじゃなくても、名前も知らなくても。

虹いろ図書館は知識や安らぎだけじゃなく、誰かと向き合う勇気もくれます。

イヌガミさんがほのかに言います。


「知ればその分怖くなくなるから、今までより広いところへ行ける。知ることは便利な道具なんだよ」


相手を知って、自分を知って、世界を知って……

そうして、わたしたちは、また、出かけていけるのかもしれないですね。

いつでも帰れる「居場所」を心に抱きながら。


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