岸田奈美「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」(小学館)

中学生のころ、「幸せそうでいいよね。悩みとかなさそう」と言われたことがあります。

それから、環境が変わるたびに一度は言っていただだく機会がある「幸せそう」「楽しそう」「悩みなさそう」「困ってなさそう」「なんでもできそう」……などなどのお言葉たち。

「不幸そう」って言われるよりはいいのかもしれませんが、悩みがないわけないでしょう!

わたしだって生きてるんですから!

目には見えないし知る機会もないかもしれないけれど、たぶん、誰だって悩みとかつらい経験をしているんだと思うんです。

それは他者と苦しさを比較するものではないし、本当の意味では他者にはわからない苦しみもあると思います。

笑顔の下に隠れているものや乗り越えてきたものが、きっとある。

でも、全部ひっくるめて、今のあなたが愛おしいし、その笑顔が素敵だ、と伝えたい。

と、日々思っているんですが、うまくいかないことが多いんですよね、これが。

生きていれば、きっと笑える日が来る!

もちろん、泣く日もまた来るだろうけど、でも、笑顔の日も来るって信じている。

もう一度、そういう気持ちを思い出させてくれたのが岸田奈美さんの「家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった」でした。

奈美さんにもご家族にも、いろいろことが降りかかります。

悲しいこと、面白いこと、苦しいこと、嬉しいこと……。

笑って、泣いて、笑って……。

縁をつないで、想いをつないで、また笑顔になる。

自分を好きになってあげて、大切な人たちを大切にして、そうやって一日を過ごせたら、きっと明日はやってくる。

自分を好きになれるか、自信はないけれど、明日とりあえず生きてみよう……このエッセイに背中を押してもらって、にっこり笑ってみました。

うん、そんなに悪くない。

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