コント 転職活動
ジャンボ尾崎手配犯
第1話
座っている伊達
上手から富澤
立ち上がる伊達
富沢「どうも。お待たせしました。私、伊達様を担当する転職エージェントの富澤と申します」
伊達「こちらこそ、よろしくおねがいします」
富澤「私、転職エージェントが天職だと思っていますので、どうぞよろしくおねがいします」
伊達「(間)あれ、あなた、もしかしてちょっと面倒くさい?」
富澤「(椅子を指して)さ、どうぞ」
席につく二人
富澤「伊達さんは、今回が初めての転職ということで」
伊達「あ、はい。同じ会社に15年勤めてきたんですけど、社長との折り合いが悪くなりまして」
富澤「ああ、なるほど」
伊達「小さな会社なんで、やっぱり居づらいというか。それで、業績も悪くなってきましたんで、ここらが限界かななんて。
まあ、自分としても新しいところで再チャレンジしたいという思いが強くなったんですね」
富澤「(間)すいません、もう一回いいですか?」
伊達「聞いてなかったのかよ!」
富澤「まあ、会社を辞めたいということですよね」
伊達「まあ、そうですけど」
富澤「大丈夫です。私も転職を15回経験してる、転職のプロなんで」
伊達「え、15回転職してるんですか? 15回会社辞めてるってことですよね?」
富澤「15回首になってます」
伊達「あんまり自慢にならないと思いますけどね」
富澤「でも、今の転職エージェントは天職だと思ってるんで」
伊達「推すねー、そのギャグ。そんなに面白くないですよ」
富澤「えーと、伊達さんは、就職したのが遅いんですね。28歳のころですか」
伊達「そうなんですよね。ちょっとバンドをやってまして」
富澤「ドラムですか?」
伊達「体型で判断してません? ヴォーカルですよ」
富澤「ああ、なら売れなくてもしょうがないですね。ハハハ」
伊達「何が面白えんだよ! 失礼だな、あんた。結構女の子にキャーキャー言われてたんだよ」
富澤「悲鳴ですか?」
伊達「歓声だよ! ヴィジュアル系で、当時は結構格好良かったから」
富澤「ヴィジュアル系というと、聖飢魔Ⅱみたいな」
伊達「いや、聖飢魔Ⅱはいいバンドだと思うよ。だけど、あれはちょっと違うだろ……。そんなことはどうでもいいんだよ、転職のことに話戻して」
富澤「えーと、伊達さんは福祉の仕事をしてこられたんですね」
伊達「そうっすね。だから、次の仕事も同じ業種で……」
富澤「(パソコンを触りながら)あ、いい仕事見つかりましたよ」
伊達「なんですか?」
富澤「粉チーズ工場です」
伊達「いや、あのさあ、俺、粉チーズ工場で働きたいって一言でも言った? 粉チーズこうやって削りたいって言ったか?」
富澤「さっき、新しいところでチャレンジしたいと」
伊達「いや、そこまで新しくなくていいのよ。福祉関係で見つけてほしいのよ」
富澤「なるほど」
伊達「あと、年齢的にも管理職がいいかなぁなんて」
富澤「ちょっと何言ってるかわからない」
伊達「なんでわからねえんだよ。早く探せ」
富澤「あ、ありましたね」
伊達「あ、早いね」
富澤「シルバー人材センターの仕事ですね」
伊達「ああ、なるほどね。まあ、福祉関係といえばそうか。仕事内容はどんな感じ?」
富澤「駐輪場の管理人です」
伊達「え? 俺、現場で働くほうなの?」
富澤「一応、管理をする仕事ということで」
伊達「あれって、定年退職した人たちが働くところだよね?」
富澤「定年退職のご予定は?」
伊達「ねえよ。まだ、バリバリ働くんだよ」
富澤「そうですね、正直言うと、やっぱり伊達さんぐらいの年齢なると、なかなか転職も厳しいんですよね」
伊達「あー、やっぱりそうなんだ」
富澤「ですので、ここは、プロフィール修正しましょう」
伊達「え、いいんですか、そんなことやって」
富澤「大丈夫です。みんなやってますから」
伊達「そうなんだ」
富澤「そうですね、音楽をやっていたんですよね。じゃあ、これはプロデューサーとして100万枚売り上げたということにしましょう」
伊達「いや、それだったら、音楽辞めてないでしょ」
富澤「5億円詐欺で捕まって引退したということにすれば大丈夫です」
伊達「それはTKでしょ。全然大丈夫じゃないよ」
富澤「あ!」
伊達「どうした」
富澤「福祉関係でいいのが見つかりましたよ」
伊達「え、なになに?」
富澤「落合福嗣のマネージャーです」
伊達「そっちじゃねえよ!」
コント 転職活動 ジャンボ尾崎手配犯 @hayasiya7
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