第29話
イフィアの命令で集められたのは、無残なヘレスやウォーブだ。コレントオイルに目を付けた作戦のためだ。
金属の骸に残る、心臓部。そこにある燃料こそ、コレントオイルだ。鹵獲したアルコーンを動かすのに貴重な資源である。アルコーン自体もそう言えるが、しかしまさに戦況の「起爆剤」となる「兵器」でもある。
コレントオイルの特性。それは煤に触れると、爆発することだ。イフィアはそれを狙う。
「ウルディ戦法とは。考えましたね」
「ハルドからの入れ知恵よ」
「それに兄さんには、『派手にやりすぎだ。資源を無駄にするな』なんて、言われそう」
「いや、確かに効果的でしょう。カタパルトもある」
「そして火も。ポアス、もう発射した?」
「つい先ほど、そう報がありました」
「分かった。友軍に帰還を急がせて」
「すでに部隊は、後退し始めています」
イフィアは頷き、今度は敵の拠点の地図を出した。
「あなたの部下は優秀ね」
「もともと盗賊らですからね。忍び込んで逃げ帰るのは得意ですよ」
「それにしても、思ったより、少ないのね」
イフィアは帰還した潜入部隊からの報告書を見ながら、つぶやいた。
「とは言え、楽ではありません。ソルモール軍はすぐに態勢を整えて、襲来するでしょうし」
「ガン・リクからは?」
「ドウ族の戦士たちが、ティオント港を制圧したと」
「なら最速でも、あと2日。なんとか踏ん張らないと…」
「それで奇襲部隊の配置は?」
「すべての箇所で完了しております」
「準備は整ってるのね。必ず成功させましょう。この国の未来のためにも」
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