第23話

 テーブルのランプが国王の顔を照らす。国王は作戦説明を終えたハロットが水を飲み終えるのを待った。

「ハロット、それで資源はどうなっている?」

「ドウ族が物資や食べ物、資源も運んでくるということですが、今すぐにとはいきません」

「鉛は底を尽きております。そもそも鉛はエリュフィシア全体でも少ないわけですから、これに関してはもはや敵軍から奪うほかないでしょうな」

「金銀はどうだ?」

「クィデン山のおかげで何とか」

「鉄は不足していますが、戦場から回収した武具や防具で賄えると考えています。フェルロも同様。破損したアルコーンから再利用できるかと」

「木と石は足りていますが、アルコーンの燃料のバミーセ鉱石と椿油が不足しています。ただアルコーンに関しては投降した部隊から鹵獲したものや、回収したものの中の、損傷が軽微なもので補えると考えております。現に、このガロンタの戦いでも既にヘレスやウォーブを投入しています」

「そうか。お前の作戦で、うまくコレントオイルが手に入ればよいな」

「複数の入手ルートを考えてありますから、量はともかくとして、確率は高いはずです」

 国王はせり出していた体を戻した。今度はアラステアを見る。

「アラステアよ、サーレーンはどうした?やはり職人のところか」

「私もヘルムインも、ヘレスやウォーブの操縦訓練もしなければなりません」

「やはりか。アルコーンは職人しか本格修復出来ぬからな…」

「わかった。アラステア、それまでお前には私のサーレーンを授けよう」

「よろしいのですか?」

「無論だ。我が子よ。我がサーレーンはまだあるのでな。それからヘルムイン、お前にはウェンデンのサーレーンを授けよう。数日かかるがよいか?」

「父上の…!もちろんです!」

 王はアラステアにも返答せよとの合図を送る。

「私も同様です」

 アラステアとヘルムインは、互いに肘を親指で軽く叩いた。そして手の甲同士を合わせ、互いの武勲を称えた。

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