第12話
『アラステア様!我らも共に!』
サーレーンが周りの敵兵を薙ぎ払っている時、突然通信が入った。言葉の前に、敵を打ち砕く音がけたたましい。
その後に続くのは、アルコーンの足音、歩兵の進軍の音、そして騎馬隊の草原を駆ける音と共に耳に入ってきたのは、聞き覚えのある声だ。
「ヴァルナス!あなた達も…」
『我らとて、偉大なるウェリオンの血を引く戦士…』
『このガロンタの草原で、終わりになるわけには参りません!』
「ヴァルナス、ですが陛下や幼い王族たちを…」
『心配ありません。ジャーダインがいますから。それに…』
今まさに敵に襲われているのが、音だけでもわかる。
『その陛下の命令です!そもそも、あなたやヘルムイン様らが出撃されて、我らが城で籠っているいては、王室騎士団の名折れ!』
「…分かりました。では、あなたはアルフェールへ向かってください!あそこが落とされては…」
『御意。では、我らはアルフェールへ』
ご武運を、という言葉を付け加えようとしたが、群青のミスラールの残骸が見えた時、彼はその必要がないということを悟った。
(マーサス・ヴィロンを討つとは…!何と言うお方だ)
ヴァルナスの大部隊は、行く手を阻むものを倒しながら、戦場を通り過ぎていく。それは壮観な光景であるが、しかし他のウェルギスの戦士たちに、それを見送る余裕などあるはずもない。目の前の、後ろの、横の、とにかく自分に近づく敵たちに目を向けることで、精一杯だ。一瞬の隙はあれど、あくまで一瞬でしかないのだから。そしてそれはもちろん、アラステアも同様だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます