第11話
並みの戦士ならば隙とは考えないであろう、その変化をマーサスは見逃さなかった。サーレーンの剣を持つ右手と、右腕がわずかに揺らいだのだ。
(もらった!)
マーサスのミスラールは、微動だにしなかった先ほどまでとは打って変わり、ほんの一瞬でアラステアのサーレーンの懐に入りこむ。そして、マーサスは勝利を確信した。アラステアは明らかに反応出来ていない。その証拠に、この切っ先がすぐにでも、確実に胴体を捉えられる位置に来ているが、身動きが取れていない。
マーサスは止めを刺すために、ほんの少し踏み込む。そう。この感触だ。幾度となく味わったこの感触。この感覚の数秒後には、敵は地に伏し、動かなくなっている。彼の目には、すでにその光景が見えている。見えていたのだ。
(…何だ!?)
マーサスの錯覚は終わり、彼に通常の感覚が舞い戻る。剣は空を切った。彼にとっては信じがたいが、それは事実だった。
焦ったマーサスは、もう一度斬りかかったが、隙だらけだ。そして、そんな敵を斬るのは容易い。横に真っ二つに斬られたミスラールが、サーレーンの前に地に伏していた。
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