第3話

 アラステアは、自分専用の金とピンクのサーレーンへと到達した。アルコーンに乗る際、本来ならば鎧を着なければならない。だが時間的な猶予はない。アラステアはサーレーンの横にある階段をのぼり、乗りこむための足場に立つ。すると人間で言う肩甲骨の部分にある、扉が開いた。アラステアはそこからコックピットに入った。アラステアはまず、操縦席中央の透明の水晶に手をかざした。透明だった水晶は薄紫色に変わった。そして連鎖するように、コックピット内にあるすべての水晶が光り出した。

 その輝きを見たアラステアは、両脇にある操縦用の水晶を手で掴む。その瞬間、サーレーンは地上へと転送された。


 一方のヴァルナスは、最後の砦として待機していた王室騎士団を集めた。

「お待ちを!我々も出撃するのですか…?」

 副長であるイゼル・ヘリューズが疑問を呈す。当然の疑問である。たしかに敵は城に侵入する寸前だ。しかし王室騎士団は文字通り、王室を守る騎士団。城を離れるわけにはいかない。

「陛下の御意思だ。奮戦する友軍を助けよ、と」

「それに、アラステア殿下が出陣なされた。我らがふんぞり返るわけには、いくまい?」

「アラステア様が!?」

 騎士たちは大いに驚く。しかしすぐに冷静になり、早急に出撃準備を整えた。1秒でも早く、戦場に行かなければならないからだ。次期国王に『万が一』など、決して許されないのだから。

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