第2話

 アラステアは、王室用の地下格納庫へと向かった。城の中は慌ただしい。それでも家臣や兵士たちは、アラステアに敬礼した。もちろんアラステアも気付いていたが、それにかまっている場合では無かった。

 地下格納庫へ向かう螺旋階段を降っていた時、アラステアは大きな揺れにバランスを崩した。

「まさか……!」

 ついに敵軍が、城の間近まで侵攻したのだと、直感した。

「急がないと……!」

 再び階段を降った。やがて1056段目を踏み終えたとき、格納庫の扉が見えた。アラステアはそれを蹴り飛ばし、格納庫の中に入った。

 そこには巨人型の兵器、アルコーンがずらっと遠くまで並んでいた。本来これらは予備の戦力であるが、これを見たアラステアは最前線に投入することを決めた。

「マノアス!お願いがあります。至急、搭乗騎士を集めてください!」

 格納庫の管理責任者であるマノアスは、その言葉に、顔をゆがめた。予備戦力を使うということは、訓練生や民兵も、いよいよ駆り出されることを意味する。

「いやしかし、これらは予備の…」

「それにまだ、陛下よりのご命令が…」

「知っています!ですが、四の五の言っている時ではありません!とにかく急いで!」

 アラステアはその命令を下すと、自身も専用のアルコーンへと急いだ。

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