第96話 牧場夫婦のゲーム日誌、その1

 〇月××日(晴れ)


 息子の頼み?で楓のリンクスを手に入れて欲しいと頼まれた。


 アラインの開発に携わっていたお陰で、伝が有るからな。娘の為にも協力しよう。


 あ、そうだ。


 昔、深雪しらゆきが畑を作りたがった事があったな。


 ゲームの中なら土地が足りなくて、断念する事もないだろう。もう一台追加だ。



 〇月×〇日(晴れ)


 研究所の手立てを使ったから、使用中の脳波観測というデータの収集という理由をでっち上げた。


 元々必要なデータの一つではあった訳だから、問題はないだろう。


 機密性の高い研究職なんてやっていると、なかなか家に帰る事が出来ない。


 ゲームの中なら、久々の家族団欒を楽しめそうだ。



 〇月×◇日(晴れ?)


 仁が余ったリンクスを持ってきた。必要だったんじゃ無かったのか?と聞いたら、β板の特典で貰えるのを忘れていたらしい。


 運営側も何を考えて、新しいゲーム機を特典に選んだのか。


 もうプレイしているんだから、特典で貰っても持て余すだけだろうに。


 仕方が無いので、脳波のモニタリングのアルバイトとして誰かを雇う事にした。



 〇月×□日(曇り)


 書類審査の段階で分かってはいたが、仁のクラスメイトが二人も紛れていた。


 折角なのでこの二人にお願いしよう。


 あ、仁にメールを送っておかなければ。



 〇月×▽日(晴れ)


 色々と調節をするハメになったが、無事にリンクスを家族に渡せた。


 アルバイトの方も問題なく完了した。


 私も折を見てログインしよう。



 〇月×△日(雨)


 今日は初めて『グリモワール・オンライン』にログインできた。


 ゲームはあまりやらないが、物を触っている感覚や本当にそこにいるかのように感じるAI。素晴らしい技術だ。


 キャラクターを作るにあたって、種族は人間にしておこうと決めていた。


 そもそも私は仕事の一環なので、モンスターと戦うような派手な動きは求められていない。まぁ、戦いはアルバイトの方で頑張って貰おう。


 職業は植物学者になった。どうせ妻のサポート位しかすることも無いからな。


 深雪しらゆきの奴は農家農家と騒いでいたから、これで良いだろう。

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