第22話 お父様の秘密2
そしてお父様が口を開いた。
「ロビン、これは、そのね。お祭りの変装用で……」
「黙れ、この変態が……」
と言うと
「ちょっと、酷くない?何言ってんのよ変態って。実の父親に変態はないでしょ?」
「うるさい、変態が。もう僕に父親面して話しかけてくるな変態が」
と言うと、お父様が死んだ目のまま泣いた。
そこへ、お母様が入ってきて、事態を一瞬で理解された。
「ウッウッ!エルううううう!!ロビンが酷いのよ!親に向かって変態とか言うのよ!!」
と泣きついた。お母様は
「まぁ、ロビン、それは酷いわよ?」
て言うので
「お母様、何でこんな変態を庇うのです?女装して喜んでる父親など、想像したくもない!幻滅です!」
と言うと、お母様に何故かバチンとぶっ叩かれた。
「痛い!!」
お母様、ほんと容赦ない。
「ロビン、それなら、お父様の女装姿を見てから言うことね。変態なんて言えないくらい美少女に変わるのよ?」
と言い微笑まれた。
いや、どんな美少女に変わろうと、自分の父親が女装とか無理。女口調てだけでも我慢してたのに、物的証拠が出てくるとなると、もう変態としか思えない。
「では、お母様がお父様を変身させてあげますわ」
と、お母様は、いつの間にか、お化粧道具を持ってにやりとしていた。
「ちょっと!エル!本気なの?流石にロビンの前では辞めない?」
と慌てるお父様に対し、お母様はにこにこしながらも
ドンとお父様を壁際に追いやり、逃げ口を手で塞いだ。
「エル!!そんなっ!逆壁ドンなんて反則だわ!やっだ!もう、キュンとくるじゃない!!」
と女口調で頰を赤らめるお父様。
気持ち悪い。
お母様はとりあえず僕に
「できるまで本でも読んでなさい」
と本を渡した。
その本は美少年が女装する迄の過程が書かれており、僕は嫌な予感がした。
読み終わった頃、お母様に
「ロビンできたわ!こちらへいらっしゃい!」
といつの間にか衝立の向こうから手招きされた。
ひょいと覗くとそこには…。
恐ろしいくらいの美人がいた!!
完璧にどこから見ても女の人にしか見えず、僕は戸惑った。
しかし…
「ロビン、お父様よ」
とお母様が紹介して固まりかけた。
「…うふ、ロビン。どうかしら?」
お父様の声。間違いなく!!
この美人からする!!
「お、お父様?本当に?」
「な、何よ?」
やはり、お父様だった。
「女の人にしか見えない!!」
「そうよ、エルの化粧の腕は確かね」
「嫌ですわ、ケヴィン様…」
てお母様も照れた。しかしその後、
「じゃあロビン、貴方にもお化粧して貰おうかしら」
と嫌な予感が的中した!!
「ひ!い、嫌です!僕はいいです!!この後、平民に化けて街へお小遣い稼ぎに行かなきゃいけないし!」
と言うとお母様はにこりとして
「大丈夫よ、せっかくだし、私達女の子同士でプリシア嬢の好きそうなものを買いに行きましょう?」
とお母様が楽しそうに迫り、僕は捕まり、とうとう女装させられることになった!
「いーやーだああぁぁぁぁ!!」
と逃げ出そうとすると、お父様がジュウドウとか言うのを仕掛けてきて、僕は動けなくなった。
とうとう観念し、僕はお母様により、化粧をされて美少年から美少女に変身した!!
「きゃーーー!ロビン可愛い!流石私の子!」
とお父様がはしゃぐが
「黙れ、変態が!」
と言うと、お父様も
「あんたも女装しといて、何言ってんのよ?その姿じゃ誘拐されるから、仕方ないから私も街へ行って守ってあげるわ」
と言う。
*
「行ってらっしゃいませ!奥様、侯爵様。
それと、ロビン様ですか!!?うわぁ!!何という美少女!!流石奥様!!」
となんか普通に裏門の門番さんが通そうとしてる!!
何故だ!!
いや、これはもう慣れている。
「いつも悪いわね、とりあえず買い物したら帰るわね」
とお父様も、もう門番さんと仲良しで、でへへと鼻の下を伸ばす門番さん。
いや、男だよ?女にしか見えないけど、お父様変態だし!
と、僕は思いながらも平民の乗る、酷く揺れる乗合馬車に初めて乗った!
「うぐ、気持ち悪い…」
と言うと、お父様とお母様はすでに慣れたのか紙袋をちゃっかり用意済みで
「いつでも吐いていいわよ?」
と渡してくる。信じられない。
ようやく街に着くと、街の人々がなんかザワザワとこちらを見ていた!!
「すげー美少女!それに美人!普通の地味女!」
とか言われ、お父様がちょっとお母様に対しての評価にブチ切れそうになるが、お母様は死んだ目で
「いいんですよ。いつものことです。お二人の魅力には私は叶いませんわ。ほほほ」
と言っている。
結局僕は靴磨きでは無く、普通の酒場で店先に立って、お客を呼び込むだけで、人がドドドと来て、握手を求められただけで物凄い稼ぎになった!!
店主さんからは、お礼を言われた。
「良かったわね、ロビン!!自分で稼げて!!」
とお父様達はにこにこしている。
そこへニヤついた酔っ払いがやってきた。
「ひぃっっく!こりゃあ、綺麗な女の子達がいるな!まだ小さい子も、すげー可愛いじゃねぇか!!俺は可愛い子供が好きなんだ!!
へっへ!小遣いやるから、おじさんと遊ぼうか?」
と近付いて来たのをお父様は
【背負い投げ】
と相手をぶん投げた。
ジュウドウはやはり凄い。剣も持たずに投げ技で相手を立てなくさせる。
お父様は変態だけど、こう言うところは尊敬していた。
僕もちょっと前に稽古をつけてもらったけど、簡単にのされた。
「お父様、ありがとうございました」
とお礼を言うとお父様は
「世の中には小さい子好きなロリや、ショタ好きという変態がたくさんいるから、ロビンもさっさと柔道をマスターしときなさい?
いざって時に役に立つからね!」
と言う。
うん、変態のお前に言われても説得力ないけど、愛しのプリシア嬢を守る時には、役に立つはず。
そうして僕はプリシア嬢のお花を買うために店に入ったら!なんと!プリシア嬢本人が花屋で花を買っていた!!
「プリシア嬢!!なんでここに!!?」
と言うと声で振り向いたプリシア嬢。相変わらずぷっくりして可愛い!!
しかし僕を見て
「そのお声は、も、もしやとは思いますが、ロビン様なのですか?」
と聞く。
はっ!しまった!
僕!女装のまま!!
プリシア嬢は震えながら、
「可愛い!!なんて可愛いの!!いやーー!!素敵いいい!」
とドスドス走って来て僕に抱きついた!!
はっ!そんな!プリシア嬢!大胆すぎる!わあ!プリシア嬢可愛い!プニプニお肉に埋もれ窒息死しそうだ!
「プリシア嬢おぉぉぉぉぉぉ!!」
と僕の意識は遠ざかった。
最後にチラと視界に死んだ目をした美人のお父様とお母様が僕達を見ていた気がする。
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