第一章のあとがき(ネタばれあり)


 長い間、お付き合いいただきまして、本当にありがとうございました。連載中、毎日「いいね」やコメントをくださったみなさまに励まされて、ここまでたどり着くことができました。本当に感謝の言葉ばかりです。


 この二人は、本編である「田舎の犬と都会の猫」の後半から登場するキャラクターです。当初は、主人公である田口と保住に敵対するキャラとして設定いたしましたが、書いているうちに、なかなかのキャラに仕上がって、「これは面白い話が書けるかも?」と思い立ったのが、このお話の発端でした。


 まき実篤さねあつは、いいところの坊やで、社会の本当の厳しさをあまり経験したことのないようなタイプ。なに不自由ない世界の中での反発心は、本当の厳しさを知っている人間からみたら、お遊びみたいなものです。親や親族の七光りを自分の力と勘違いして、出来る男を気取って、粋がっているくせに、なにも考えていなくて、突っ走って失敗するという設定です。ともかく、ダメ男にしたくて、プライドばかり高くて、自己中心的、情けない、なんでも人のせい、甘ったれ、見た目も残念という、いろいろなダメ要素をぶち込んだキャラです。


 野原のはらせつは、本編でも表示している通り、人の気持ちが理解できない、人間のカテゴリーに入れてもいいのかどうか迷うようなAIロボ。生まれた時から、バカな実篤に振り回されて、でも、それが普通だと思っていて……結局、今の今まで一緒にいるという設定です。ともかく、昔から人間離れしている性質から、集団では浮いてしまう存在ですが、社会に出て、個性豊かな人たちの中で、ぐんぐん人間らしく成長していく。作中で、女性の篠崎しのざきの手を握るシーンもありますが、あれも単純なる興味からの衝動で、深い意味はない。彼の恋愛形態も、「同性が好き」「異性が好き」とか、そういう次元の話ではなく、「その人が好きだから好き」というレベルであり、それ以上もそれ以下もないということです。


 間延びするかなと思いつつも、やはり外せなくて、二人の子供時代、中学生時代、そして今という構成にしました。本当は、昔のエピソードは回想的な感じにしようと思っていたんですけど……。やはり、この二人にとっては、子供の頃からの流れが外せませんでした。

 今までは引っ張っていたと思っていた自分が、いつの間にか大人になっている雪に引っ張られている。37歳にもなって、やっと大人になろうとしている実篤は、本当にバカですよねぇ。私だったら足蹴りだよな……。

 少しは実篤の成長ぶりを感じていただけたら嬉しいです。


 二人のお話はとりあえず完結ですが、このお話には、メイン次回作への伏線をたくさん盛り込んでおります。澤井の野望、実篤と雪の今後の関係性、久留飛くるびというキャラ、市長選、市制100周年記念事業をめぐる陰謀……などなど。ここまで書くと、次回作、結構がんばらなくてはいけないというプレッシャーがかかってくるわけですが……頑張ろう。

 ああ、実篤と雪は、結構好きなカップルなので、またなにか思いついたら書きたいな~と思っております!そして、篠崎さん。このシリーズで初の女性キャラにしてこの存在感!みなさまからもご意見を頂きましたが、私も結構、雪と篠崎はいい感じになるのではないかと思います。実篤と付き合うより、よほどいいのか?どうか……。3人の泥沼3Pですか?!それはそれで面白そうですね!考えてみよー。


 ともかく、この度は、本当にありがとうございました。今後も、メイン作品で二人が登場するかと思いますので、どうぞ応援のほどよろしくお願いいたします。




―令和二年九月十八日 雪うさこ―

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