しょうもない独り言
雪猫なえ
しょうもない独り言
おはようも飛び交うことのない校内の三階は今日も朝から静かだった。
話してる奴がいると思えば数学の疑問解消会が開催されている。席を立った奴がいたかと思えば、先生に質問をしに行くかトイレか、それか頭のいい奴にこれまた勉強の質問だ。
これが常だった。そしてその空間が僕は大嫌いだった。
落ちろなんて思わないけど、勉強するなとは思う。頭が良くてずるいなんて思わないけど、代わりにやる気がなくなる。
どうやったって、成功する未来のビジョンが絵画のようにしか思えない。つまり、描けるけど所詮現実じゃないみたいな。
気がつけば最後の授業の終わりを告げるチャイムが鳴って、放課後は始まる。残って勉強をする人たちに敬意を評しながらも、僕はそそくさと帰る。一刻も早く校門を飛び出したい。僕は毎日そう思っている。
敬意なんて評してる場合じゃないんだともう一人の僕が怒っている。お前も同じ土俵で戦ってる受験生なんだぞ、彼らを見習え、彼らと戦え、向き合えと。矢継ぎ早に怒鳴っている。
こんな風に毎日を浪費しながら、僕はきっと受験本番を迎える。どうなっていいから早くこの苦行期間よ終われと祈っている自分と、辛くても目の前のことを頑張れと殴りつけてくる自分の間で、何者でもない僕は今日もどこか
しょうもない独り言 雪猫なえ @Hosiyukinyannko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます