第17話

 私を鬼畜へと貶めたのはあいつらだ。私を虐げ、見下していたあいつらなんだ。何も怯えなくていい。この状況は成るべくしてなったのだ。思うようにやってみればいい。私は悪くない。


 蘇る悔しさをバネにして両手の中で生まれた小さな闇の中で自分を全力で肯定してみると、頭の中の靄が晴れてきた。呼吸の乱れは収まり、手足には力が漲ってすくっと立ち上がれた。怒りの力は凄まじい。私はさっきまでの愁傷な自分を捨てた。私は加害者なんかじゃない。まわりからも自分自身からも心を殺されていた被害者なのだ。後ろめたさなんて感じる必要など微塵もない。


 顔を上げると、外の景色が少し変わって見えた。夜が優しい。空気が甘い。


 さぁ、いっちょ頑張るか。


 夜明けには少し早い。窓を開けていたとしても、部屋の中での作業は誰にも見られないだろう。だけどできるだけ夜に紛れて終わらせてしまいたかった。


 憐れな被害者が光の中で汚れ作業をやるなんて、あまりに残酷過ぎるから・・・。


 

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