第15話

 シチューに入れる肉は太ももとお尻の部分から。から揚げに使う肉は指。そしてサラダのトッピングとして耳たぶを使うことにした。肉を調達するため、キッチンへ包丁を取りに行く。



 人肉ってどんな感じなのかしら?


 普通の包丁で切れるものなの?



 未だ考えたことのない悍ましい疑問。でももう後戻りはできない。自分を奮い立たせてずっと使わずに置いていた未使用の文化包丁といつも使っているキッチン鋏を持って夫の元へ戻った。


 血の匂いがさっきよりも濃くなっているように感じるのは、別の部屋で新鮮な空気を吸ったからだろうか。私は包丁と鋏を夫の側に置いて、換気のため近くの窓を開けてみた。


 窓を開けたと同時に、すうっと風が吹き込んでくるのを期待したが、今夜は風が弱い。望んでいた風が部屋の中に吹き込まれることは無く、湿気を含んだ外のにおいが私の鼻に届いただけで終わった。

 


 

 

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