第六章〜隠された素顔〜

二人で探し歩き始めて結構経つのだか…

全く出会えないでいる。

まぁ…そうよねこれだけ人がいて尚かつこれだけ広いのだからそう簡単には見つからない

そろそろ足も痛くなって来たな…

「…っいた…」


「…少し休もうか?」


「へっ?ううん私は大丈夫よ(早くしないと色々とヤバイので休んではいられない)」


私の今後にも関わって来るかも知れないしね!油断は出来ないわ!


「はぁ、それよりもこっちが先でしょう?」


手を引かれ近くに合ったベンチに座らせられる。


「全く…靴擦れしているのに気付いてまで歩かせる訳ないでしょう」


「気付いてたの?」


「逆に隠せてるって思ったの?」


そんな事言われたら何も言い返せないじゃない。このオーライケメンめ‼しかしコレだけの資質と言いますかオーラを持っているのに関わらず

「love・forever」の攻略対処枠に居なかったのが不思議よね…スペシャル特殊でも金色アクアマリンの瞳のキャラなんていなかったと思うんだけどな…。まさかのモブ…って言うのは無さそうだし。

「はい。これでよし…今度は痛いの我慢しないですぐに言うように!もし何かあったら医者に見て貰うんだよ。」


「ありがとう…」

考え事をしている間に応急処置をしてくれたらしい。何とも手際のいいこと…慣れているのかしら?

流石に靴擦れしただけで医者は行かないけどね…


「さて…そろそろ探しに行こうか」


「うん‼そうだね」


気を取り直して歩みを進めていくと先程よりも多くの人が賑わいを見せていることに気が付いた。

「あれ?人がさっきよりも多くなった?」


「あぁ…お披露目会がもう直ぐ行われるからね…それでだと思うよ」


なるほどねもう直ぐで……えっ?もう直ぐって今何時ですか⁉


「えっ…い、今何時なの?」


「ん?今は午後の1時45分だよ。後15分後に始まるね」


「ウソ(もうそんな時間が経っていたの)」


嘘でしょ?後15分後までにリクと会ってそれからヒロインと攻略対処の王子との出会いを…えっ?これ間に合うの?

忘れてはいけない今日のミッション…。

必ず遂行しなくてはならないのに後15分って⁉


「ね…ねー早く庭園に行こう!あっでも…リクが…どうしよう」


「少し落ち着いて。大丈夫だよ…そのリクって子ももしかしたら庭園に行っているかも知れないし」


「何でそんな事分かるの?」


「今日は王族主催のお披露目会だ。だからここに来る他王族や貴族は必ず庭園に行く事になる」


なるほどね!頭いい!今の今まで気が付かなかったわ。確かに私の家にも招待状が届いてそれが無いとアルシスには入れないのだからそう言えばそうよね!


「そうと決まれば早く行きましょう!」


「うわっ!そんなに焦らなくても庭園は直ぐそこだしまだ15分あるんだよ?」


「後15分しか無いの!いいから早く!」


確かに直ぐそこに庭園は見えているんだけどいつヒロインと攻略対処の王子が会うかわからないのだから早く行って見張っておかないと見逃してしまう。


「…っ⁉前っ危ない‼」


「え…?きゃあっ!」


またぶつかってしまった…。どれだけ私は人にぶつかればいいのだろう…私ってこんなんだったけ?そりゃそうよね人が多くいるところで走ろうとすればぶつかるわよね。成人した大人が何やっているのよ…

しかも子供に注意されるって言う…はぁ…見た目が子供で良かったわ…

ぶつかってしまったから…謝らないと…っ⁉


「すみません!ぶつかってしま…って…⁉ひっ‼」


あぁ…またこの感じ…今日あった事なのに忘れかけていたこの黒くモヤがかかった様なこの異様な気配は…この感じは…


「お嬢ちゃん大丈夫かい?」


「………っ」


でっぷりとしたいかにも美味しい物しか食べてませんって言っているような体付き、肥満だな…。

それは別として…服装からして貴族の男だ…ただ何なの?

この異様な感じは…最初に感じた時よりも更にモヤが濃く感じる。もしかして…この肥満おじさんから出てたものなの?

怖い…震えて体動かない…声がでない…気持ち悪い…


「お嬢ちゃん……もしかして…」


バッ!


「申し訳ありません…急にぶつかってしまって」


マントで包み込み隠す様にすると男に謝罪し距離をとる。

わっ!良い匂い…じゃ無くて…もしかしなくとも守ってくれてるのかな?何で…?


「…捕まって…走るから」


「へ?…走るっ…うぇっ⁉」


ボソッっと耳打ちで何を言い出すのかと思えば、なっ…なっ何故⁉急にお姫様抱っこ⁉こんなの前世でもされた事無いから戸惑い隠せないよ!

私が腰抜かして動けないからかな?…だからって⁉初めての事で準備が!心の準備が⁉

「行くよ!」

えっ…もう行くの⁉待って色々追い付かないです…準備が…‼


「ぎゃあぁああぁ⁉」

速い!⁉怖いぃい⁉えっ…人ってこんなに速く走れるものなの⁉

「チッ…後追って来られているな…仕方ない……飛ぶよ!」


今度は飛ぶの⁉えっえっ流石に無理でしょ⁉

しかも追いかけて来られてるの?こんなに速いのに⁉あのでっぷりとした肥満おじさんが追い付けるの⁉貴方のマントが資格になって全然わからないけど…⁉…後…何か舌打ちが聴こえたような…。


「ま…待って飛ぶってな…にぃいぃ⁉⁉」


お父さん…お母さん…私…今から死ぬのかしら…。

前世で「love・forever」の1つもプレイ出来ず強盗に撃たれ…しかもそれが神様(ポンコツ)の手違いで死んで……今でも根に持ってるからね!

そして転生したのはイイけど何故だか赤ん坊からで…前世の記憶がある中めちゃくちゃ恥ずかしい思いもしてやっと7歳にまでなって…攻略対処のリク・デビットにもあえて…

ヒロインと攻略対処の王子が出会うアルシスの庭園まで来て…それで…

それでやっとここが「love・forever」の世界だと実感し念願のニートライフが出来る筈だったのに…‼今度は7歳で生涯終えろとでも言いたいの?あのポンコツ‼

これでまたもや手違いでした。何て言われたら絶対に許さないから!

今までの怒りと哀しみにマントを掴んでいた手の力が入る。


「もう大丈夫だよ…追いかけて来ていないから…ほら目を開けてごらん」


「ん?…空?綺麗……⁉きゃあぁあ‼何で!何で飛んでるの⁉いやぁ!怖い‼降りる!下に降りる!…降ろして‼」


「わっ‼…暴れたら危ない!落ち着いて」


この状態で落ち着いていられるか⁉

だってここ空だよ⁉雲の上だよ!地上じゃ無いんだよ!怖いに決まってるでしょう⁉

て言うか何で貴方はそんなに落ち着いているの⁉何で人間が飛べるの⁉

絶賛混乱中の私は何を言われても叫び上がる事しか出来なかった。


「もう!いやぁ⁉…」


「危ない‼…あっ‼」

混乱していた私はジタバタと暴れ勢い良く両手で体を押す…

押してしまった…そうすると支えていた体制は崩れ急降下


「あっ…‼⁉△□#%*#¡▷▽◇⁉」


あっ…コレ死んだわ…


ガシッ


「…全く…だから落ち着いてって言ったのに…まぁ、でも俺も悪かったよ」


「っうぅ…こ…怖かった…(死ぬかと思った)…⁉天使?…」


「へ?天使って?」


今までフードで隠れて全く分からなかった顔が…さっきの急降下?のせいでフードがとれ…

本来の顔が……はっ!美…美少年だ!いや天使だ!

天使が目の前にいる⁉動いている!


「貴方の事よ!天使みたいだわ!」


金色アクアマリンの瞳に水金の髪…なんて綺麗で神秘的なの!流石は「love・forever」の世界‼もっと言うならあの神様(ポンコツ)より神々しさがあるわね!


「ふっ…あはは…君は本当に可愛いね。俺が天使に見えるだなんて…俺にとっては君の方がとっても魅力的な天使に見えるのに…」


…やっぱりイケメンは言う事が違う…。

こんなの10もいかない子が言える台詞では無い。甘い…台詞が…顔も甘すぎる。お姉さんもうトキメキやばいよ…顔が赤くなるわ…


「あう…あ…ありがとう?」


「……君、分かってないね。」


甘い台詞を言ったかと思えば今度はからかいを含む台詞……。

貴方…飴と鞭の使い方を知ってるタイプね…

私も今度リクに試してみようかな…。


「俺の素顔を家族以外に本心で見せるのは君が初めてだよ」


「ん?…うん…」


「ふふっ…分からないって顔だね…まぁ…覚悟しといてね色々と…さぁ、そろそろ地上に降りようか」


覚悟って何の?いくら考えても頭の中は?だらけのままだった。

…それはそうと…何で人間が凄い速さで走り、空までも飛べたのかそれが一項に分からない私である…何か手品みたいな物なのか?

はたまた「love・forever」の世界だから何でもありなのか?あの黒いモヤの様な嫌な気配は何なのか?

不思議でいっぱいだな…。

この世界が始まって直ぐこんな調子で本当に安定したニートライフが遅れるのか今から不安になる一方だった。

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