第四章〜不思議と遭遇〜

「んーーー!さぁっ!やってきたわアルシスの庭園…では無いけど付近へ!」


へ?何で庭園では無いかって?それはね…一応その場所の前まで行ったのよ…そしたら警備の人がいて関係者以外立ち入り禁止だって言うのよ⁉…せっかく来たのに……


ん?もう攻略対処者のリクで確認出来たんじゃないかって?そうなんだけど…もうこの世界は私の好きな

「love・forever」って事も分かったんだけど


でも…でもよ…せっかく来たのだから確認したいじゃない⁉…しかも初めからヒロインと攻略対処の王子の出会いをこの目で見て確認するというミッションを放り出す訳には行かないのよ‼「love・forever」のファンとして

「…ミーシャ?…どうしたの?」


「はっ…リク…ううん何でも無い…(ヤバイ…リクと一緒に来てたの忘れてたわ)」


あの後、リクはスグに目を覚まし今はこうして一緒にアルシスを見て周っていたのだけど…あっ勿論二人だけでっていうのは無いわよ!ちゃんとリクの父であるロマーノの従者達が少し離れたところで見ているわ。

しかし、失態したわリクが何とも心配そうな顔をして私を見ている…。

ごめん…何時もの癖なのよ…


「そう?…でも良かったの?ミーシャのお父さんに何も言わないで来ちゃった訳だし…?」


「あはは…大丈夫よ!(う…上目遣い…なんて…可愛いの…尊い)…リクのお父様と私のお母さんからは、ちゃんと許可は下りたんだし問題無いわ!」


今から30分ほど前に父アレンとロマーノで話し合いがあるからとデビット家が用意した部屋で待つ様にと言われたのだけど…

待ってる間の時間が長いのなんの!待ちくたびれる私に母がロマーノに事前に従者を付ける事によって外出の許可貰ってくれていたみたい。

流石は母‼…娘の気持ちわかってる!

父にはロマーノが伝えといてくれるらしい…

リクのお父様ありがとう!


「せっかく…庭園に来たのに…関係者以外立ち入り禁止だなんて…」


待てよ…庭園が立ち入り禁止なのにヒロインはどうやってこの中に入ったのだろう?

確かヒロインと攻略対処の王子が会うのは庭園の中の筈なのに…?


「…お披露目会の準備中だからじゃ無いかな?…庭園に入れるようになるのは午後の2時からだから」


「そっ…そうなの⁉」

リクに顔をグッっと近付ける。知らなかった…お披露目会は庭園の中で行うのね!

「…っ……!あっ…うっ…」

リクの顔が一気に真っ赤になる。

それを見てハッっと我に返るそう言えば…リクは人と話すのが苦手だったわね…さっきまで普通に話してたから忘れていたわ…

また失神してしまうかも知れないわね…そしたら大惨事に…

下手をすれば会うことすら難しくなってしまう…そしたらコレからのヒロインとの事が聴けなくなる…そんなの駄目よ‼

「リク…ごめんね…大丈夫?」


「う…ん…平気…」


「良かった〜…えー庭園が開くのは2時なのよね?そしたらまだ時間もあるし…出店でも見て回らない?」


私が聴くと真っ赤な顔して頷いた。

余程話すのが苦手なのね…


ーーーーーーーーー☆ーーーーーーーーーー

と言う事で来ました!アルシスの出店通り!

出店って言っても…流石は王族、貴族が通うだけあるは…売り場前に行かなくてもその高貴感が漂っている。

なんと言うかキラキラ…いやギラギラしてる売っているものも宝石やアクセサリー、ドレスといかにも平民が欲しても手に入らない物ばかり…。小さなアクセサリーでも桁が凄い…日本で言うと0いくつ付いてるの⁉って言う値だ。

コレは…本当に見て終わる感じね…。ましてや貴族のリク(子供)に買ってと頼む訳にもいかないしね…。後…値が…何処の店を見ても値が⁉


「凄いね!どのお店を見てもキラキラして……って…あれ?…」


リクに話をしようと後ろを振り返ると…リクの姿が見当たらない…それどころか付いてきていた従者の姿も…


「えっ…あれ?…コレは…もしかしなくとも」

はぐれたー‼ヤバイ!店を見るのに夢中になり過ぎてリク達と逸れてしまった…。

ど…どうしよう…来た道を戻ろうとも思ったけど…身長も身長だから人混みの中向っている方向も分からなくなって今以上の迷子になりそうだし…

「ど…どうしよう……きやっ!」

しまった…今度はキョロキョロしすぎて人にぶつかり挙げ句よろめいて見事尻もちを付いてしまった。うぅ…最悪過ぎる…


「!……君、大丈夫?怪我は無い?」


「ふぇ?…はっ…い」


王族、貴族だったらどこ見て歩いてるんだ‼って怒鳴る者が多そうなのに優しく声を掛けられたうえ手を貸してくれると言う…デビット家以外の人でも優しい人はいるもんだな…

御礼の言葉を言おうと顔を見ると……まぁ違和感が凄い…

何故かって?だって顔がほとんどフードで隠れて口しか見えないし…

服もマントで隠れているから王族なのか貴族なのか…はたまた異国から来た子なのか?

年は多分だけど同い年…いや年上かしら…?

取り敢えずこの場所とミスマッチ過ぎて違和感が半端ない!

「そう…良かった…」


「あっ……う…とう…」


紺色のマントを身に纏い、なおかつフードまで被り…か…顔が隠れて見えない筈なのに…な…何なの⁉この…色気は…⁉

何か凄く良い匂いするし‼美声だし!

緊張しすぎてかんだし!

今時の子供って…色気なんてあるのね…お姉さん感心したわ…

「ところで…君は一人でここに来たの?」


あっ…言われて思い出した…私…逸れたんだ。


「いや、本当はお友達と来ていたんだけど…逸れ…ました…」

出店に夢中で気付いたら逸れてました…なんて言えない…恥ずかしすぎる。


「それじゃあ…僕が一緒に探してあげるよ」


「えっ?…一緒に?探してくれるの?」

今さっき会った見知らぬ子の友人を一緒に探してくれるって…

どんだけ…良い子なの⁉


「勿論!それと…はいっ」

手を差し出された…戸惑っていると…ふっと母の言葉を思い出す。『ここではね男性が女性をリードするのが基本なのよ…』

「あっ…ありがとう…」


父以外にされたのが初めてだから少し照れく感じてしまう。


「行こうか!」


「うん!………⁉‼」


何…?今の感じ?後ろから…凄く嫌な気配……振り返り見ると、黒いモヤの様な…何?あれ…怖くなり繋いでいた手を無意識にギュッと握る

「…どうしたの?」


手を力が入った事が気になったのか声を掛けてきた

「⁉…あっ…ごめん…行こう」

何だったのあの黒いモヤは…誰かに見られている様な感じもした…いやそんな筈…でも、

もう一度後ろを振り返ると…あれ?何とも無い?さっきまでの黒いモヤの様な物は消えており異様な気配も消えていた…。

何だったの?やっぱり…気のせいだったのかな?この子も変わった様子は無いし…


「……ねーお腹空いてない?美味しいお店を知ってるんだ!一緒に食べよう?」


気を使ってくれているのだろう…しかし私は先程の気配が頭に侵食し、そんな気分になれなかったので断ろうとしたが


「美味しそうなフルーツをふんだんに使ったスイーツ何だけど」


「美味しそうなフルーツ⁉それをふんだんに使った……食べる!」


美味しそうなフルーツと聴いた瞬間、異様な気配など頭からスッポリと抜け今じゃフルーツの事で頭がいっぱいになった…なんて単純。

「楽しみ!」


「それは良かった。……」


ただ…その異様な気配に気が付いていたのは私だけでは無かった事を後々知る事になる…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る