モヤモヤ

廊下を歩いていると、琉樹くんを見つけた。

「あ、る…っ。」

琉樹くんは女の子に話しかけられていた。

女の子は顔を赤くしていた。だからきっと琉樹くんのことが好きなんだろうな。

「放課後な、分かった!」

ってニコニコしながら言う琉樹くんをこっそり見ながら、女の子は告白するんだろうな…と思っていた。

その日は一日中、授業なんかに集中できなくて。

もし、琉樹くんの好きな子があの子だったら、どうしよう、もし琉樹くんがOKしたら今までみたいに話せなくなっちゃうな…って考えているとモヤモヤして。

「そんなの嫌だよ……」

授業中なのに、涙が溢れそうになる。

必死に堪えて、ノートに字を書いていく。

でも視界がぼやけて書くことなんてできやしなかった。

だからとりあえず書くふりをした。


「琉樹くんの…好きな人は誰なの…?」

そう小さく呟いた


放課後、私は告白の場所にコソコソいくこともなく、とりあえず教室に居ることにした。

普通こういうのって見に行ったりするのかな、わかんないけど。私は見に行く勇気がなかった。

でも落ち着かなくて、誰も居ない教室で1人、机に頭を伏せて足を動かしてただただ時間が過ぎていくのを待った。


「…………奈、どうした?」

「ん…え、琉樹くん?!」

「体調悪い??大丈夫??」

いつの間にか寝てしまっていたみたい。

「いや!寝ちゃってたみたい!」

「なんで帰ってなかったの?もう帰っていい時間だけど…」

「……」

私は答えられなかった。だって琉樹くんが告白されるって事を知って、モヤモヤして不安になって待ってた。なんて言えないから。

「どうした?なんかあった…?」

優しい笑顔でしゃがんで目線を合わせてくれる琉樹くん。

「…琉樹くん…」

琉樹くんを困らせたくない、そう思ってても口が勝手に動く。

「琉樹くんは誰にでも優しいから、、」

琉樹くんの優しい笑顔を見ながらゆっくりと私は思いを伝えていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る