第89話 下−23 神山フェーズ2 猫の山から生える


朝飯中

もそもそもそもそもそもそ

なんか静かである

周子夫妻は、いつもと同じメニューなのだが、いつとの美味しさではない朝食に違和感を感じていた。

(なにかあったのだろうか?)武

(うむ、、なんか女性2人共消沈しているのか?)周子

(ウチ神様もおらんしのう)周子

(うん、何があったのだろう?大事でなければいいのだが、、)武

(まぁ、そう大事ではないだろうな、、今の様子では。2,3日様子を見よう。)周子

(そうだね、もう僕らしかいないものね)武、相変わらずどこでもお母さんポジション維持が自然になっている


周子夫妻は、なんかこの邸のまとまりがばらばらになってることを心配している。

でも、神山が戻ってくればどうにかなるだろう、とも思っていた。




その頃の神山は、どうしているのだろうか?


ずんばらびいいん♪ずんまだぶーん♪だらぶりはーん♪ぐゆいだごれうー♪


意味不明な歌が神山の口から漏れている。

その目はいまだ光を取り戻していない。

まぁ、あれほどナチュラル不屈な神山が折れてしまったのだ、そうそう数日程度でどうになかなるものではないだろう。

仲間の酷さに心折られた神山が、その仲間たちと一緒にいても治るわけがない。なのでここ千葉家の敷地内にある夜髏死苦と共同の別荘で静養している。世話をするのは千葉道場の面々。神山周辺では最もまともな者たちだ。



最近ミギャは千葉家から王宮に通勤している。

もともとミギャには魔力の資質があった。用事で千葉家に来ていたダゲー嫁に見い出され、鍛えられた。数日でモノにしたのはダゲー嫁のスパルタもあったが、ミギャの天然性も大きかった。瞬間移動も王宮往復くらいなら容易にできるくらいにまでなっている。

流石人外を呼び寄せる山田や神山の拾ってきた人物である。


で、山田をベータと慕っているミギャは、山田の強力なコンビである神山のこの状態をとても心配していた。


ある日、周子母にミギャは言った。

「猫が効くと思う。」

その一言を周子母は理解した。流石剣豪の妻である。一見関係なさそうだが、あるんだよ。


ミギャは、神山を王宮に連れていき、王宮内すべての床に敷き詰められ押し合いへしあいしている猫達の山にうずめた。


数日間、ミギャはそれをすっかりさっぱり失念していた。猫の世話が忙しいのだ、それどころではない。

あの王宮内すべての床で押し合いへしあいするほど詰まりきった猫達の世話をするのだ、忙しいに決まっている。


ある朝、ミギャが猫床に餌をばらまきながら歩いていると、猫床の中から何かが一本生えていた。

「あ、神山が生えてきた」


その神山の口にもカリカリ猫餌を押し込んで、ミギャは次の場所に行った。


神山は久々に食べた食べ物(猫の)によって、味覚神経が働き始める「まじぃ」。

そして臭覚神経も働き始めた「臭ぇ」。

数日間何も口にしていず、あたたかというより、ひとには少し暑めの猫の山に篭っていた神山の体は乾いていた。当然口の中も。そこにカリカリ猫餌が押し込められる、、ひっつくように乾いた口と喉。

「み、、みず、、、」

ココには山田もみみずもいなかったのは幸いだ。猫もみみずは好きではない。みみずには水分が多量に含まれているが、、



王宮には使用人は多い。

たまたまその使用人が生えている神山が水を欲しっていることに気づき、与えた。


「・・・・・・ふう、、、」


神山は再生を始めた。

カチッ、カシャリ、ガチン、ゴーーーっ、ガチガチン!ピッピピピピピピーーーピッ!!

うぃいいいいいいん!!

神山の目の前におちゃんこ座りしながら再生を見ていたミギャの口から漏れた、神山再生の音である。




一方天界内神


神修行時代に読んだ幾つもの意味不明な天界言葉の羅列の本が積まれている机に着いている神。

その内神の前には文字なのだかなんなんだかわからなに何かで記された本が開いて置かれていた。


なんまいだーなんまいだーいちまいだーにぃまいだーさんまいだー・・

・・ち、ちがうっ!!!!

ど、どうすりゃいーんだっつ!!!!

昨日だって滝行に行けば行ったで、なんかいつのまにかシャンプーやたわしや石鹸を出して洗ってたし、、さっぱりしたけど、、

どーしてしまったんだ私わっ!!!


それを遠くで遠目で見ていたミケ

あほか、進化してきてるんだから戻ろうってのが無茶なんだ、、、自分が再進化し始めたってことくらい気づけ、、、

と。でも教えてあげる気はまったくなかった。




で、

周子夫妻はギルドに出勤した後。

神田は様子見でまだ地下に行っていない。


「どーしよー」沖田

「いや、別にどうもしなくてもいいんじゃないの?周子さんとこの二人目の子供服作りしよっか?」小田

「それともお菓子でも作る?みんな喜ぶよ?」小田

・・・・・

「魔法の練習でも、する?今のうちにどんどん上達させとかない?」神田

・・・・「剣がいい、、」

・・

神田も小田も、剣では沖田に太刀打ちできない。

かといってできる周子夫妻はギルドで冒険者たちに稽古をつけているので邪魔できない。

森の猛獣や魔獣など今の沖田には屁程度でしかない。

多分、ダンジョンでもかなり奥まで行かねば、しかし、ダンジョンだと闘う以外の危険が多く、今の沖田だとそこらへんに簡単に引っかかるだろう。

(どうする?)神田

(・・・どーしよう)小田

・・・

あ、(山梨さんは?)

「いいね、山梨さんとこに!、ミケー!!」

にゃーん、、不承不承な感じ丸出しのミケ

「ミケ、悪いけどタマちゃんに聞いてくれる?今山梨さん達どこにいるか?それと、沖田ちゃんに稽古つけてもらいたいんだけど大丈夫か?って」

「OKにゃん♪」めんどいことではなくっ良かったと髭をなでおろすミケ。


砦で洗濯しているとのこと。来てくれればいつでもOKと快諾してくれた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る