第11話僕なりのまとめ

 僕はいつものように自分の部屋でノートパソコンを開いていた。それにしても今日はとてもヘビーな一日だった。少なくとも明日からはこれまでのような単調な日々にはならないと思う。とりあえず、僕は今日のことを簡単に分かりやすく整理してみた。読者に分かりやすいようを心掛けて。


・『タカリ屋さん』は無職であること


・『タカリ屋さん』はあの二階建てで地下三階まである一軒家に『母上殿』と二人で暮らしていること


・『母上殿』は本当の母親ではなく、住み込みの家政婦さんであること


・『タカリ屋さん』は中学校も卒業してないこと


・『タカリ屋さん』は金銭に困る生活は送っていないこと


・『タカリ屋さん』の家族は両親とお兄さんで遠いところに住んでいるということ


・『タカリ屋さん』の知識はものすごいということ


・『タカリ屋さん』は赤いコーラが好きであること


・『タカリ屋さん』の家族はネットの誹謗中傷が原因で(この部分は詳しく聞かなかった)離れて暮らしていること


・『タカリ屋さん』のネットでの特定力、情報収集力は飛びぬけていること


・『脱がし屋』を特定しようとするものは団体、個人を問わず多数存在していること


・『タカリ屋さん』は自ら望んで『脱がし屋』の中の人へ情報を提供しているわけではないこと


・『脱がし屋』の中の人である『タカリ屋さん』のお兄さんは激しく悪を憎んでいること


・『タカリ屋さん』にも『絶対的な正しさ』は分からないこと


 こんなところだ。そしてその最後の部分。『絶対的な正しさ』を探すことが一人では難しいこと。簡単に言うと、『暴走しているタカリ屋さんのお兄さんを止めるために、そのお兄さんへ情報を提供しているタカリ屋さんを止めること』が僕の力らしい。僕の稚拙な正義感と『物書きの端くれ』としての言葉に何が出来るのだろう。

 現在連載中のネット小説も手につかない。ついついSNSを覗いてしまう。『脱がし屋』のアカウントはネット宅配業者アメゾンの低評価の星を不正に連投している人間を晒していた。少年法に守られた未成年を晒していた。事実無根の書き込みをしたものを晒していた。


『脱がし屋』は正義であり、やっていることは正しいことである。誰かがそれをしないと『匿名』と言う名の『悪意』は止まらない。だけど本当に『正しい』のだろうか?


 翌日から僕と『タカリ屋さん』との新しい『裁き』が始まる。

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