第2話 準備と妹を添えて

午後3時30分家に帰宅した俺はリビングのソファーで寝転んで独り言を呟いていた。

「……いや、分かってんだけどね、分かってんだけどなぁ〜どうしてこうなってしまうんだ」

「どうしたの兄さん?また世界に絶望した顔して?」

「それはいつものことだぞ紫苑しおん、そんなことより俺は来週一週間だけ陸上部に入ることになっちまったんだ」

「兄さん一週間だけ陸上部に入るの?運動できないないのに…」

妹の紫苑より放たれた言葉の矢が俺の心を貫いた。

「ぐはぁ!やるな妹よ、流石俺の妹だ!」

「全くどうしようもない兄さんだね…」

全くもってその通りなので反論できない…

「でも…まぁ…頑張ってね…お兄ちゃん…」と紫苑が頬を染めて照れながら言った。

「…」

やべぇな妹に惚れそう。


3時間後妹の紫苑との食事中

「そういえば兄さん運動靴持ってたっけ?」

「あ〜持ってないな、どうしようか…」

「なら私と一緒に、買い物行かない?」

「買い物?買い物ね〜いいんじゃね?」

「なら決定ね!明日準備しといてね」

「はいよ」


ピロロン!ピロロン!携帯の音が鳴り響く。

なんだ?こんな夜中に。スマホの画面を見ると何処かでかで見た名前が……それは、今日会った愛羽夏海さんからのメールだった。

内容は「来週からよろしくね!」的な内容だった。

これはなんて返せば良いのだろうか…普通に「よろしくお願いします」で良いのだろうか…悩みに悩んだ結果、導き出された答えは…「はい」だった。


朝。出かけた俺たちはイオンモールのスポーツ店で、運動靴を選んでいた。

「なぁ…どの運動靴買った方がいいと思う?」

「さぁ?兄さんが好きなの買えば良くない?強いて言うなら紫色の靴かな」

え、今紫って言った?この子何考えてるの?紫とか目立つじゃん辞めてよ。俺目立ちたくないのに。

「…紫はちょ…」

ギロリと紫苑が睨んできた…え、これ買えって言うんですか紫苑さんまじですか…やべぇ、買わないと瞬獄殺を打って来そうな顔してる。

「こ、これにします」

「そうすると思ってたよ理解兄さん…」

さっきまで瞬獄殺打って来そうな顔だったのに、今は天使みたいな顔してる…やはり可愛い。

「じゃあこれ買って来るね」

「え、お前が買ってくれるのか?」

「だって無気力、無関心、無努力の兄さんが変われるかもしれないチャンスなのよ。少しは私に協力させて!」

「そこまで言うならいいけど…ありがとうな紫苑」

やっぱり妹は素晴らしいな。シスコンに目覚めそう。


「ねぇ見て兄さん!」

紫苑が指を指した先には、巨大なモニターに写ったアイドルの姿だった。

「何あれ?」

「何も知らないのね兄さん。今をときめくアイドル石狩葵ちゃんだよ!」

「石狩葵?へぇ〜興味無いね」

「本当に兄さん何も興味無いのね…そこがいい所でもあるんだけどね…」

「何か言ったか?」

「何でもないよ」

石狩葵かどっかで見たことあった気がするだがな、まぁ今をときめくアイドルだから見たことあったのは当然か。

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