第5話 元斉からの最終試練!!

 3人も一気にいなくなると静かすぎるぐらいだ。

「さて…」

「どうされたのですか師匠」

「こう言ってはなんじゃが、2人になれたのは好都合じゃと思っての」

いつも気楽な師匠が少し躊躇った様子で

一拍おいて語を継ぐ。

「今はまだ傷を癒やす猶予期間として主催者側の配慮で延ばしてもらっているが…

次の決勝戦の相手今のお前では必ず」

「負ける。そう仰っしゃりたいのですね」

「うむ。判っておったのか」

「自分の力量を見定める力ぐらいはココに来てつけてきたつもりです。ですが…」


  (…敵いそうにない…無理ですよ師匠)

喉元までその言葉がせり上がってくる。

「ワシらが青写真を描くにはチト厳しい相手じゃ。なにせお前さんが、コテンパンにやられた相手じゃからの」

「師匠!!知っていらしたんですか」

「知ってるも何も…行き倒れておったと言ったのは方便での。あの時の打ちのめされたお前の姿を見ると正直には伝えれんかったんじゃ。そう、ワシは一部始終すべて観ておった。武芸百般のツワモノが集まる会場じゃぞ。興味しかないわい」


 あの神楽とかいう女は強い。

今でも何をされたかよく思い出せない。


「そこでじゃ。あやつの対戦動画を入手してきておる。ワシは穴が開くほど研究してきてるから、今日から大会直前までの時間を最後の修行に割り当てるぞい」

佇まいを直し、深く一礼する。

「ハイッ…お願いいたします!!」

ホッホッホ

「?なにが可笑しいんですか?師匠」

「いんや、何でもないわい。嬉しいんじゃよ…ホッホッホ」

穏やかな顔に凄みが入る。

「今までの修行と比べものにならん厳しさになる。覚悟してかかれよ!!」

ゴクリ。

 

 ココが試練の時!d(*´ω`🎀)


 連れてこられたのは殺風景な廃屋、いや

今は使われることがなくなった校舎の屋上だった。見晴らしが良く排気ガス臭い地上とは異なり空気も澄んでいる。屋上の出入り口以外の三方をフェンスが囲んでいる。

懐かしい学生生活を思い起こさせる。

もっとも中学生までの記憶だ。


が…この場所におよそ似つかわしくない人物が目の前にいるだけで猛禽類が放たれた檻の中、いやリングの中へと変容する。

 

 圧倒的な迫力と殺気。師匠の傍らには

ラジカセが。

「麗煌。どうもお前のコレまでの闘い方を見ていると少しはマシになってきたもののまだまだ動きが硬い。

まあキホンとして型をその身に叩きこんだのはワシじゃがそろそろ、崩していい頃合いじゃろう。硬いと的が絞られやすく事実

お前はコレまでの闘いでの被弾数は他選手に比べて多すぎるくらいじゃ。近接戦闘でしか闘いを見いだせないから仕方はないが、、

、たとえ、ガードの上であったとしてもな。体力は削られることに変わりはない」

言いながらラジカセのスイッチに手を伸ばす。聞き慣れない音楽が耳をつんざく。


 「コレは!?」

「音楽など聴く機会に恵まれなかったじゃろ。音楽は良い、歌はいい。心を和ませてくれる勇気づけてくれる」

「しかし、師匠!コレと今の話と何が関係あるのですか?」

「リラックスするのじゃ。そして頭ではなく身体で様々なビートを刻め。ホレホレ、そうじゃあない。ホッホッホ全く滑稽なステップワークじゃの。それじゃあバランスを崩しやすいのも無理はないしガードもテンポが遅れるわい。リズム感を養う時間に割り当てる。

リズム感を養うには、この流れる歌詞を覚えて歌うのが1番馴染むじゃろ。ホレホレ。ヤッパリ頑固じゃの、身体にハリガネが入っておる。選曲はたっぷりとあるからの。愉しみじゃ」

 (…く…)足取りがふらつく。

気がつくと足元に養生テープが、何箇所かに分けて貼られている。

「小節ごと、転調する毎に移れ、移れ、移れ。ワシの攻撃をガードするのでなく躱しながらの」


 なん…だと…


「ほれほれほれ!大会までにそのザマじゃと

要らぬダメージを増やすことになるぞ!!」

師匠は闘いながらも音楽を器用に切り替える。聞き慣れた音が耳に滑り込んでゆく。

つま先でのステップが頭で考えなくとも自然についてくる。ウチの身体じゃないみたいだ。

「ムッ…クラシック音楽に切り替えたとたんに動きが流麗になりおったわ。どうやらコレがお前の答えらしいな」


次は受け身の取り方じゃ。と言い放ちざま

思い切り前方へ蹴りを繰り出してくる。

「ガッ…」

「ホレホレホレ!!すぐに体勢を立て直し攻撃に移り変わるよにする癖をつけるんじゃ。そんなだから続けざまに被弾する。1分一秒が命取りとこころえよ」

大分様になってきたな。ここらいらで休憩と師匠はジュースを差し出す。

「お前、大分良くなってきたのう。一変につめこんでも頭の悪いバカ弟子に吸収は厳しいじゃろて。ここいらで今日は」

「まだまだぁ!!!!」

「仕方ないのう、日が暮れるまで付き合うとするか」








 

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