SSランクパーティでパシリをさせられていた男。ボス戦で仲間に見捨てられたのでヤケクソで敏捷を9999まで極振りしたら『光』になった……
第51話「なんだと……! 謝ればいいってもんじゃ───(後編)」
第51話「なんだと……! 謝ればいいってもんじゃ───(後編)」
──ぼ、僕のやったことも全部……。
「全部ッ!!」
泣き出しそうな表情でシェイラが叫ぶ。
僕を許して────と、
「あ゛ッ!」
ごんッ!!
「あっだ! なぁにすんだよ!」
「──
ついつい口調が荒くなるグエンを
「ったく、もぉぉ……」
「──おまッ! 俺がどういう目にあったか……!」
「それはアタシも同じ」
う……。
そ、そうだけど──。
「だ、だけど、俺は──ま、前からコイツに……こいつ等に!」
「それは今言うこと?……それは、
いや。
うむむ……。
うぐぐ……そ、そうだけど──。
「小さい男──」
「ぐぅ……」
グエンは言葉に詰まる。
ぐうの音も出ないとはこのことだ。
もちろんグエンにだって言い分はあるし、ひどい扱いを受けていた当時のことを知らないリズにとやかく言われるのも業腹だった。
だけど────。
だけど、リズの言うことの正しさもわかる。
何より……。
グエンはそれ以上に、自分の
称号を得て、リズという支援者を得て……。
マナック達を伸して──
そして、
ほとんど「ざまぁ」したあとだから、こんな態度に出れる。
自分が圧倒的優位に立っているから……この態度なのだ。
(確かにこれじゃぁな……)
リズに小さい男と思われても仕方がない。
だってそうだろ?
少なくとも、以前なら考えられなかったことだ。
以前のグエンなら、拳を握りしめつつも、
卑屈に笑い。
一言目にはとりあえず謝罪していた。
そう。
絶対に逆らったり、こんな風に強気にでるなんてなかったはずだ。
そう。
パシリに甘んじていた時なら──。絶対に。
「くそ……」
「ほんっと、頑なよねー……」
リズがため息をつく。
「お前には……リズにはわかんねぇよ──」
いい年こいたオッサンが、子供に馬鹿にされてパシリにされるのだ。
その屈辱……!
──ギリリリリ……。
歯ぎしりするグエンを見てシュンとしてしまったシェイラ。
「そう……だよね。許してなんて言えないよね……」
「あぁ、許さねぇ──絶対に」
「ひぐ……」
スパァン!
「いっだ!!」
「しつっこい!! もぉう……! いつまでも拗ねてんのよ」
うっさいなー……。
「許さねぇけど、」
「だ・か・らぁ!」
そう。許せるものかよ……!
「──そもそも、謝る相手はギルドにか? お゛ぅ゛?!」
「うッ。あ……」
シェイラは言った。
僕
つまり、グエンと一緒になってギルドに謝罪するというのだ。
だけど、それは違う────そんなことはシェイラに関係のないことだ。
グエンが言いたいのは…………!
「ご、ごめんなさい!! グエン、ごめんなさい!!」
そうして、初めてシェイラが謝った。
ここで再会した時とは違う、それ。
本心で、心の底から──。
そして、
あの時のように、驚きと恐怖で謝ったそれとは違う。自分の意思で、自分の声で、自分のことをしっかりと──。
だが、聞かねばならぬ。
「……何についてだ?」
追及するグエンをみて、「はぁ……」と、肩をすくめるリズ。
しつこい男と思われているのかもしれない。
だが、それでもいい。
………………これはケジメだ。
「あぅ……あ。その、パ──……パシ、ううん! む、無理やり、用事を言いつけたり、ば、馬鹿にしたり、その、物を投げたり、仲間外れにしたり──」
う……。
子供にあらためて言われると結構突き刺さるな、これ。
だが、まぁ……うん。自覚はあったのだろう。
うんうん。
ちゃんと素直に謝れば、いずれ許せる日が来るのかもしれないな……。
「ひ、ひどいこと言ったり、みんなの前で意地悪したり……」
うんうん。
ちゃんと覚えてるんだな。そして、悪いことだと理解していた。
それがわかっているなら、多少は──……。
「…………ご飯にゴミ入れたり、不幸の手紙書いたり、」
うんうん…………って、うん────。
は?
「──べ、ベッドにカエルとか蜘蛛を入れたり、お風呂のお湯を水に変えたり──それに、」
え?
う、うううん???
え?
ちょ……。え? ええ?!
「く、靴下に穴開けたり……手袋の片方を捨てたり──」
は?
は、は?
はっぁああああ?!
「便所に時限式の魔法陣を仕掛けたりしました────うわぁぁあん、ごめんなさーい!!」
……………………前言撤回、
「あ──」
ニコリと笑ったグエン。
「あ?」
「「あ??」」
シェイラも、リズやティナも首をかしげる。
すぅぅぅ…………。
「あ・れ・は・全・部・お・前・かあああああああああああああ!!」
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