第46話「ソニック! VS アンバス!!(後編)」
…………なら、こいつを本格的に使ってみるか?
そう言い切ると、グエンは手にしたグングニルに軽く魔力を通す。
すると──、
バチンッ……!
パリパリ……パリッ!
「んなっ! そ、それは……!」
アンバスの顔が真っ青に染まる。
「まさか、卑怯だって言わないよな────……えぇ? アンバス。そしてレジーナ」
アンバスだけでなく、その後ろにいたレジーナにもグエンは言葉を放つ。
「な! てめぇ!!」
「き、気づいていたの……?」
そう。
アンバスは単独でグエンの攻撃を凌いでいたわけではない。
目を凝らせばわかるほどではあるが、うっすらと光の粒子を纏っている。
これはつまり──。
「高位神官のバフ付きか。どーりで倒れないわけだ」
「こ、この! 生意気言いやがって──!」
アンバスが反撃に移ろうと、タワーシールドの陰から戦斧を突き出すも、
「ッ────アンバス?! 構えて……来るわッ!」
レジーナが一歩早く気づいて、アンバスに注意を──……。
「遅いッ」
グエンの速度は敏捷9999の×「音速」だ!!
それもまだまだ小手調べッ!!
「構えて」なんて言ってる暇に────。
「──迎撃してみろぉぉぉお!!」
バリバリバリリリリ……!
「このぉぉぉおおお!!
カッ────!!
神々しい光がレジーナの錫杖から迸るッ!
それは、ほぼ無詠唱で発動し、あっという間にレジーナの高位神聖魔法がアンバスの身体を覆っていく。
その魔法こそ、レジーナの真骨頂。
『
その上昇率はなんと────5倍ッッ!!
「うぉぉぉおおおお!! 来た来たーーーー!!」
メリメリメリ……!
正面切っての支援魔法にアンバスの身体が光り輝き、筋肉が盛り上がり、皮膚に対魔法防御が付与されていく──。
ぶっはっぁぁあああああ!!
「──きぃぃーーーたぁぁぁあああ!! 全能力の5倍ッ」
5倍……?!
5倍………………。
5倍だってぇぇえええ…………あははははははははは!
すぅぅぅ……
「──5倍ごときで、かなうかぁぁぁあああああああ!!」
「じゃかましい、パシリごときにはもったいないくらいだぁぁぁ!!」
両者絶叫ッ!!
だったら、
「──それで防いでみろぉぉぉお! うおらぁぁぁぁあああ」
俺の音速は敏捷値を35倍じゃぁぁあああああ!!
グエンは手の中でスコップとグングニルを弄び、ギュルギュルと回転させて、
「ふんんんッッ!!」
と、同時に振りぬき「音速衝撃波」をブチかましてやるッ!
それは、
2連 & グングニルの
その名も、
かーらーのぉぉぉぉおおおお!!
バチバチバチバチバチ……!!!
シェイラの魔法をも凌ぐ凶悪な電気が迸り、
それは上級魔法のそれに匹敵する威力を秘めたまま
「んなあぁぁああああああ?!」
「くぬぅぅ……! あ、アンバス耐えるのよぉぉお、この木偶のぼぅ!!」
グエンの纏う攻撃の凶悪さに一瞬にして顔面の血の気を失ったアンバスが慌てて逃げ出そうとするも、
「は、離せぇ、レジぃぃぃぃいいーーーーーーナぁっぁああ!!」
「タンクなら耐えて見せなさぃぃぃいいい!!」
と、その背中をがっしりと掴んだレジーナが逃がさない。
──もう、ガッシリと!!
まさに盾!!
まさに肉壁!!
まさに非道ッッ!
だが、許さんッッッ!!
「今度こそぉぉぉおおおお────────」
──
「──死ねッ、アンバぁぁぁあああス!!」
「あがあああああああああああああああああああああああああ!!」
目にもとまらぬ連撃とはこのことか!
文字通り目にもつかせぬ連続の攻撃がアンバスの装甲にぶち当たる!!
そのすべてが音速!
そして半分はグングニルの電磁攻撃付きッッ!!
ピシャーーーーーーーーン!
「か────……」
青白い光がアンバスを貫くッッ!!
一瞬だけ、骨が透けて見えるほど強力な電気が走ったアンバスの身体が、直後に音速衝撃波の余波をまともに受ける!!
「うぎゃああああああああああああああ!!」
身体を奔る電撃と衝撃に、たまらずアンバスも悲鳴を上げて仰け反る。
その拍子にタワーシールドがどこかにすっ飛んでいった。
そして、盾が消えた瞬間をグエンは見逃さないッッ!
「トドメぇぇぇえええ!!」
地面にグングニルを突き刺し、それを足場にしてグエンは突進の構えッ。
そのまま、ググググググ……と、足に力を籠めると────。
あいた手に拳を作る……!!
「アンバスさぁん…………焼きそばポーショーーーーーーーンんんんん──────」
すぅ……。
「──売ってませんでしたぁぁぁぁあああああ!!」
し──────ねッ。
これが、
ソニックパンチだぁぁぁああああああああああああああ!!
「よ、よせぇぇえ!」
「いやぁぁあ!! 私はコロッケポーションでいいですぅぅぅう!」
最後の最後でレジーナがアンバスの庇護下から脱出。
というか、蹴り飛ばして逃げた。
「うおらぁぁああああああああああああああ!」
「ああーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
どかっぁああああああああああああああああああああああん!!
音速の力と敏捷9999の踏切で、グングニルを蹴ったグエンがアンバスの顔面に音速のパンチを叩き込む!!
それは攻撃力を飛躍的に向上させた音速の一撃ッ!
攻撃力=1/2×筋力×敏捷の2乗!!
つまり──────スっさまじい威力だ!!
めりぃぃ……!
「あべっ──」
アンバスの顔面にめり込むグエンのパンチ!!
音速の世界で拳の感触を感じるグエンは奴の顔面が陥没し、変形していく様をまざまざとみる。
そしてぇぇぇぇええ────────振りぬくッ!
「てりゃぁぁあああああ!」
「────あべしぃぃぃぃーーーーーーーーーーーーーーーー!」
ぎゅるん!! と、その場で一回転したかと思うと、そのままドカン、バゥン、ズドーーーーン!! と、何度もバウンドしながらギルドから吹っ飛び、街中の通りを跳ねてそのまま城壁を貫き、町の外へ…………。
グエンは、拳を振りぬいた姿勢のままスタッと着地。
「くはッッッ…………──────」
プルプルと震えたかと思うと……!!
「っっかぁぁぁあ………………!! きもっちぃぃぃぃいいいいいいい!!」
と、実にさわやかな笑顔で言った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます