第6話 優しさ程残酷なものはない。
「大変恐縮ですが随分とあの女神にお優しいのですね?」
宇宙に広がる神殿の玉座で目を瞑ってしまわないうちにとθがΣに質問をした。
「儂はいかなる時も愛情に満ちているぞ。」
そう言って再びΣは目を閉じた。θは首を傾げた。
「愛人は愛人でも愛の女神だから飽きられることもなくいいねえお気楽で。Σ様に軽々しく話しかけるのはあんたぐらいだよ。」
Δが溜め息混じりにθを小突く。
「人間は生きて百年らしいぜ。まあその前にあの男は私の毒で即死だろうけど。」
「そういうこと…」
θが目を見開き数回軽く頷いた。
「随分と父上は残酷なお方だ。」
「ロマンがあっていいじゃないの。それより彼女の代わりの正妻どうなされるのかしら。」
にこやかにΔの方を向く。愛らしい笑顔は何処か常に冷たさを含む。Δの眉間にしわが寄る。
「安心しろ。蛇の力など司っても仕方がない。」
「仕方がないって失礼な!」
Λが歩き出す。θは面白そうにクスクスと笑う。
「そなたの口から失礼など出るとはな。なら私の妻になるか?」
「Λ様がどうしてもとおっしゃるなら側室ぐらいなら…。」
僅かに頬を紅潮させたΔが目を逸らす。
「名案だな。」
三人の神は玉座の前を後にした。宇宙に笑い声が静かに響く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます