第2話
待てない。
そう言われて、別れたらしい。
「わかってない」
なにもわかってない。男友達のことを何も理解してない台詞だ。腹立たしい。
彼にとっての恋愛は、待つ作業そのものなのだ。コミュニケーションをとって、そしてお互いにちょっとずつ打ち解ける。それがあの男友達との恋愛。それを理解しないとは、まったく女の風上にも置けないやつだったな。
「ふふっ」
また男友達は、フリーになった。
この男友達は、私のものだ。私こそが彼を最も深く理解し、そして彼も、私を誰よりも分かっている。
彼が誰か違う女と付き合って結婚するなら、それもそれでいい。付き合って結婚する程度で、私と男友達の仲は引き裂けない。そういう関係なのだ。男友達と私は。
それに私は、数多の男性経験を経て彼にたどりついている。しかし男友達のほうは私以外の女性に触れたこともないだろう。ほぼほぼ、勝ち確の状態。ドラマとかでよくある、振られた後に一番近い女友達とくっつくタイプの最終回。きっとそれになる。間違いない。
それでもまだ、これだけ親密になっても、惚れられるのが、少しこわい。私と付き合うとして、それで私が待てなくなったら。彼が変わってしまったら。
こわいから、やっぱり踏み出せない。テーブルの向かいに座って、顔を見るのがこわい。惚れられなかったら。惚れてしまったら。
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