第3話 キャラ崩壊してね?
「ねぇねぇ拓磨〜!た〜くま!拓磨!」
「な、なんだあれ…」
「あれって、笹原だよな…?」
笹原さんの俺への告白から一夜明け、現在は昼休み。普段特に目立つこともなく、ぼんやりと日常を過ごしている俺だが、今日はクラス全体から視線を浴び居心地が非常に悪い。もっともその原因は俺の背中から手を回し寄りかかるような体制になっているみっちゃん、いや笹原さんにあるのだが。あと付け加えておくと俺の背中には大きなメロンが2つ押し潰されるような形になり俺の背中史上幸せなこととなっている。
「な、なに?」
俺はそう返すと笹原さんは「名前呼んだだけ〜、えへへへ」とか言ってデレデレしている。昨日、あの後キャラ崩壊してない?って聞いたら、本人曰く、あれはわざとやってるということだった。なぜ不良女子なんてキャラを演じてるのかまでは深入りするのも良くないだろうと聞かなかったが。それにしても周囲の好奇な視線が痛い。
「さ、笹原さん、ちょっと離れて…」
「えーー、いいじゃんよぉ、彼氏彼女ならこれくらい普通じゃない?」
「「「「「!?」」」」」
周囲が絶句している。
あっ、俺の平穏な日常終わったわ。
実はあの後、俺が「ちょっと、心の整理がしたいから返事は待って」と言ったのだが、笹原さんは「えー、それで振られた友達知ってるもん〜、最初はお試しでいいからさ〜、お願いッ!」と言われ、圧に負け「わ、わかったから、お、お試しね、お試し…」と返し、
お試しだが
すると、そんな笹原さんの様子を見てか、チャラそうなクラスメイトがこちらへ近寄ってくる。ちなみにこいつも髪を染め金髪であり…あれ名前なんだっけ…入学二ヶ月でこんな派手なやつの名前覚えてないとか俺どんだけ周りに興味ないんだよ!?なんて自分にツッコミを入れていると–––––
「
チャラ男が笹原さんを口説こうとしている。
当の笹原さんはというと––––
「はぁ?何言ってんだテメー?オメーみてぇなクズ男みてぇなやつと遊ぶ時間なんてねぇんだよッ」
「で、でもそんなやつより俺のほーが…」
「な・ん・だ・っ・て?」
「ひ、ひぃ、す、すんません…」
「わかったらいいんだよッ…チッ、はやくどっかいけ、拓磨との時間ジャマすんな」
と言ってチャラ男を追っ払った。今の笹原さんの目、マイナス100度くらいあるんじゃないかってくらい冷たかった。ひぇえ、やっぱこえーな。
すると–––キーンコーンカーンコーンとお馴染みのチャイムが学校に響いた。次の授業5分前の予鈴である。
「ちぇー、もう昼休み終わりかぁ、じゃあ帰り一緒にかえろーね!」
と言い残し自分の教室に帰っていった。いや、不良モードとデレモードの切り替えはやいな。俺のまで隣に来た宗介に「今度詳しく聞かせろよ?」とニヤニヤ顔で耳打ちされめんどくさいことになりそうだなと思う。
周囲もまだ俺の方をチラチラ見ている連中もちらほらである。
俺は
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