第4話 瞳の輝き
次の日も、彼女は音楽室にやってきた。
その次の日もそのまた次の日も。
だんだんと彼女と会うのを楽しみにしている自分がいる。
俺は彼女に、聖騎士は世界中に拠点を持ち、その拠点をおくことが国のステータスの1つであることなど自分の持つ知識をたくさん教えた。魔力を持つ彼女が知らないことを魔力のない自分が知っているということが、彼女より優れていると一瞬でも思えたことがうれしかったのかもしれない。
そんな日々が数週間続いたある日。
「聖騎士は合格した後、寮という名の部署に配属されるんだ。寮は4つあってそれぞれギリシャ神話の神の名をもとにしている。戦争やテロの鎮圧、災害時に派遣されるヘラス寮。情報収集を得意とするヘメナ寮。国交の監視や神殿や貴族との連絡をとるディケル寮。圧倒的な強さを誇るゼウシス寮がある。ゼウシス寮は常設寮ではなく来たるべきトップが現れたときのみ設置されるんだ。ここ4年は設置されていないないらしい。トップっていうのはエルピスと呼ばれる人達のことで各寮に一人ずつ任命されるんだ。エルピスがその気になれば世界を簡単に滅ぼせると言われるほど強いんだぞ。」
この日も俺は彼女に聖騎士について語っていた。
すると彼女は、
「あなた。本当に楽しそうに話すのね。普段死んだ目をしているのに聖騎士のことを話しているときは瞳が輝いているわ。」
そう言って、彼女はセミロングの茶髪とオレンジの瞳を輝かせて微笑んだ。
思わず吸い込まれそうになる。だが死んだ目は余計だ。
彼女は続けて、
「ねえ。もしあなたに魔力があるって言ったらどうする?」
何を言っているんだ?そんなことあるはずがないだろう?俺は冗談交じりに、
「そうだな。聖騎士になって、エルピスになって俺という存在を世界に知らしめてやるよ。」
魔力のない俺がこんなことを言うのがそんなにおかしいのか女は笑い出した。
聞いたのはお前だろ?流石に言い返そうとしたとき、
『バァン!』
と聞いたことのない音がした。
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