第3話 狭き門

「いいか?まず、聖騎士っていうのは世界で100人しかなれない職業だ。毎年1月1日に1度だけ行われる選考試験で上位100人が選ばれる。試験は国籍や年齢に関わらずだれでも受けられるから世界中の魔法科高校の卒業生や在校生そして、前年の聖騎士も受ける分倍率もレベルもほかのどの試験よりも高いとされている。毎年億を超える人数が受けるらしい。」

「ものすごく狭き門ね。」


本当に何も知らないのか。



「その分彼らのもつ権力は絶大だ。なにせ、世界貴族や神殿と肩を並べられる存在だからな。世界貴族は、この魔法社会の創造主といわれる7人の末裔だ。中でも唯一の王家であるバレシウス家の当主は代々世界王と呼ばれる世界を統べる方なんだ。神殿は、国同士の裁判や聖騎士の任命をする、世界の法を司るところだ。この世界は、世界貴族と神殿、そして聖騎士がそれぞれ同じ権力をもち監視しあうことで均衡を保っている。」

「なるほど。」


「絶大な力を持つ分選ばれた数が国の評価にもつながるからどの国も必死なんだよ。ただ、実は聖騎士の大半は世界貴族なんだ。貴族は創造主の末裔だけあって魔力の強い人が多いし、その家の格にもかかわるから家を継がない次男や三男がなることが多いらしい。」

「平民からすれば相当厳しいってことね。」



 やっと気付いたのか。そうだ。魔力のあるやつらですらほとんどなれないのに平民の、魔力を持たない人間がなれるほど甘くはない。



『キ~ンコ~ン、カ~ンコ~ン』

 ちょうどそのとき昼休みが終わるチャイムが鳴った。俺が教室へ向かおうと席を立つと、

「え?もう行っちゃうの?」

 そういえばこの女、授業サボっるて言ってたな。

「俺はお前と違って真面目なんだよ。」

俺がドアを開けようとすると、

「待って!明日も来ていい?今日の続き聞かせてよ。」

不思議と嫌だとは思わなかった。



俺は、振り向かず少しだけうなずいて教室へと向かった。

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