10話・我慢できない
「あぁ、この耳と尻尾?」
アリスが目をぱちくりさせながら、自分の耳にさわる。
聞いちゃダメなことだったりするかな? でも、気になります。
「この耳と尻尾はね、今は国交がないからこの国にはいなくなってしまった獣人の血がボクに流れてるんだ。母方の祖先にいたんだけど、ずっと発現してなかったのにボクの代で急にでてきたんだよね」
ピコピコと耳をいじりながら、話している。もう、我慢出来ません!
「さわってもいい?」
アリスはびっくりした顔のあと、少し考えていたが、
「いいよー」
よしっ、OKもらいました!! 少し屈んでくれて、耳を近づけてくれました。ツンツンとつつくと、ピルピルっと動くし、ぷにぷにすると、くすぐったそうにピッピッと動く。可愛いぃぃ。耳の裏側を撫でると気持ち良さそうにしっぽが揺れていた。うん、猫さんだ! のどゴロゴロも効くのかしら。
「リサちゃん、気持ちいいんだけど、その辺で止めてくれないと、ボク困っちゃうよ」
「あ、ごめんね」
ついつい、可愛くてやり過ぎちゃったかしら。アリスが少し困った顔をしていた。
今まで、
「
いえ、耳も可愛いのですが、貴方が可愛いのです。とは、言えない。
「聞きたいことはこれくらい?」
コホンと咳払いをして、アリスが確認する。
「うーん、まだわからないことがわかってないから難しいなぁ。何を聞けばいいんだろう? って感じだし」
「そうだよね。ここに来たばかりだもんね。よっし」
ぐぅぅ。
盛大な音がした。お昼時かぁ。あれ、そういえば朝食抜いてしまったんじゃ。なんていい音で鳴くんだい。腹の虫くんよ。穴があったら(略)なんて考えが頭のなかを高速でかけめぐる。
「お昼ごはん食べに行こうか」
「ハイ、オネガイシマス」
恥ずかしさで顔から火がでそう。あうあうとお腹を押さえていると、アリスにまた頭をポンポンされた。
「お昼ごはん、終わったら明日に備えて魔法の予習しておく? いざって時のために、自分の身を守るためにもはやく使えた方がいいよね。帰る方法は時間が空いてる時に書庫とか調べてみる?」
魔法! できるかなぁ。使えたら、すごく便利で面白そう。使えるようになるかな。
ぐぅ。
いや、虫くんは返事しなくていいからっ!! アリスも笑いをこらえてクックッてしないでください。
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