09話・気になる話は
「あ、私の服」
アリスが、塔で渡してそのままだった私の服を持っていた。
「ありがとう、とりにいかなきゃって思ってたの」
手渡してもらえるのかと、手をだして用意したのだけどなかなかこちらにこない。
「あの」
「もし、良かったらこれ借りてていい?」
「へっ?」
借りるって女性の服、何に使うんですか? アリスは綺麗で着たら似合いそうだけど。
「リサちゃんが、こういう服の方がいいなら、裁縫職人やパタンナーに似たようなの作ってもらえないか聞いてきてあげるけど」
それは、願ってもない! ドレスじゃ動きまわりにくいし。
「お願いします。あまり丈が長いものだと、踏んづけてしまいそうで」
たはは、と笑ってお願いしておいた。アリスは「はーい」と言って、侍女さんに渡していた。
はっ、あれ下着も入ってるんじゃ!?
気がついた時すでに遅し。侍女さんが持って出ていってしまった。無情なる扉の閉まる音。返してとも言いづらい品。あぁぁぁぁぁ。
「それで、話の続きとさっきの結果報告なんだけど……、リサちゃんどうしたの?」
穴があったら入りたい顔でもしていたのかしら、アリスが顔を覗き込んできた。
「ダイジョウブです」
「その言い方二回目だね。本当に大丈夫?」
「はい、ちょっと穴を掘りたい気分なだけです」
アリスがきょとんとしていた。あぁ、私の服達は次、
「んと、いいかな?」
「はい、お願いします」
「まずは、結果報告でいいかな。予定外ではあるけど、認めてもらったよ。本音は国に縛りたいだろうけど、ボクもこの国の王子だからね。国から離れることはないだろうってことでOKもらったよ。よろしくね、花嫁さん」
本気なのか、からかっているのかがわからないニコニコ笑顔でアリスが言うので、
「はい、オネガイシマス」
顔を赤くしながら、もそもそと答えておく。
「ただね、魔法の習得、修練をしてもらわないといけないからって明日以降に魔法指導の先生がつくことになっちゃった。ごめんね」
まあ、そうですよね。魔女になってもらわないと私の価値なんて何もないし。
「ルードっていう魔法使いが、教師役なんだけど。ボクの友達じゃなくて兄上のお抱えだから、実質監視役だろうね。ボクが教えるって言っても、もう一人つけろって言われちゃった」
なんか、最近聞いたことある名前? あ、リードだっけ。お知り合いかしら。
こくこくと頷きながら、考えていた。
「ボク、出来るだけ一緒にいるから、安心してね」
しゅーっと顔が熱くなるのがわかった。優しいなぁ。
「は……ぃ……。ありがとうゴザイマス」
語尾がなんだか変だったような気がするけど、きっと気のせいだろう。
「結果報告はこれくらいかな。あとは、さっきの続き、聞きたいことまだあった?」
あ、あります。あります! とってもあります!
「その、聞いていいかな。アリスちゃんの耳やしっぽってどうしてそんなに可愛いの?!」
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