第9943D列車(臨時編) 1人旅 〜1日

「ガチャ」玄関のドアを開けて家を飛び出す。そう、私はこれから日帰りの1人旅を5日間やるのである。今回使う切符は『Hokkaido Love!《ほっかいどう らぶ》 6日間周遊パス』である、この切符は1万2千円で6日間JR北海道在来線乗り放題、特急列車自由席乗り放題、指定席は4回まで使えることができる。

 その切符を使って、電車で約1時間、旅の出発は苫小牧とまこまい駅からだ。ここ苫小牧は海に面する街で人口は約17万人のベットタウンである。苫小牧から普通列車に乗車し、南千歳みなみちとせへ、南千歳からは「特急おおぞら4号」に乗ろうと思ったが。。。。なんと15分遅れである。「おい、マジかよ」そんな声を私は漏れ出してしまった。旅にはトラブルも発生することあるが、初日から勘弁して欲しかった。【ここで立ち止まっても意味がない】私の心の中で思った。

 とりあえず、南千歳から「新千歳空港しんちとせくうこう行 快速エアポート112号」に乗車し新千歳空港へ向かう、新千歳空港の滞在時間はわずか4分、折り返しの「札幌行 快速エアポート119号」で新札幌へ向かう。その道中、私は南千歳駅で降りようと思ったが、スマホで「特急おおぞら4号」の列車の遅れ時間及び走行位置を見てみるとまだ南千歳駅付近にいる、今乗っている列車はとっくの通り、その駅を過ぎている。僕は即座に『ここは開き直って、新札幌で降りて特急に乗るべ」そう判断した、そうしている間に新札幌に着いた。新札幌からは遅れていた「特急おおぞら4号」に乗り、札幌へ。

 札幌からは13時ちょうど発「特急カムイ17号 旭川行」に乗車し、美唄びばいへ。列車内ではあらかじめコンビニで買っておいた、おにぎり、ピーナッツパン、エナジードリンクを静かに飲食をする。そして時刻表を開きながら時間とにらめっこしながら「旭川に行く」という行動をとるかとらないかの選択肢、途中駅で降りるならば乗り換え時間のロスを減らしたいなどの考えてた結果では美唄びばい駅に降りることに。札幌から特急列車で35分、距離にして54.4km、人口は約2万人の街である。この美唄という地は炭鉱で栄え、鉄道網も増えた。ピーク時の人口は約9万人がいるほどの盛況ぶりだったそう。駅舎は思ったより大きかった、特急が停車する駅だなという感じである。駅舎は東側と西側それぞれ出口があり、通り抜けられるのである。私は東側に出て散策してみることにする。駅舎を出て歩いて約3分、国道12号線沿いに出る。この辺りはドラックストアや銀行などの商業施設並んでいて、栄えていたのである。散策が終わったところで駅に戻り、再び札幌へもどることにする。

 美唄からは12時50分発「特急ライラック22号 札幌行」に乗車し、先ほどの来た道を筆で描くかのような形で札幌に戻る。私は、先頭6号車の前のドアから乗り込み、空席を確認しながら見ていた。これが思ったより自由席に乗車しているお客はとても多かった。ほぼ満席に近いのに等しいくらいだ。最終的に座れたのは、3号車の窓側の座席だった。窓側の席に座れたことにラッキーだった。そして列車内では、また時刻表を開き、次の行先を決める。時間にして13時過ぎである。このとき考えたのは

「まだ遠くへ行ける」

この一言である。時刻表を見て次の目的地を決めたのは、岩見沢いわみざわを過ぎたころである。次の行き先は余市よいちである。

 列車はまもなく白石駅を過ぎ、札幌駅到着前放送が流れ、乗客は降りる準備をしている。美唄から札幌まではあっという間の旅であった。13時25分、列車は定刻通りに札幌駅に到着した。

 このまま余市まで行きたいところだが、次の余市方面の列車は、小樽13時51分発、その次は15時05分発、その次は15時51分発である。札幌から小樽までの距離は33.8km、東京駅から神奈川県横浜市、元町・中華街付近までぐらいである。時間にして普通列車で約50分、快速列車で約40分である。つまり、今から小樽に向かったとしても小樽13時51分発、倶知安くっちゃん行の普通列車には到底間に合わないのである。では、15時05分発、倶知安行きではどうだろうか。これであれば、時間帯的にも間に合うところだが、私は逃すことにした。理由はただ一つ、朝からまともな食べてものを食べていないからである。食べたものといえば、おにぎり一個しか食べていない。当たり前のようにお腹がすいている。札幌という地にもう一回、ふりだしに戻って昼食とる。この時間を考慮した結果、小樽15時51分発、然別しかりべつ行きに乗ることに決まった。

 昼食を食べ、お昼1本目の列車は「普通列車 小樽行」である。札幌を14時41分に発車し、小樽到着は15時35分の列車である。この列車には手稲ていねで降り、南小樽みなみおたるでもう一度この列車に乗る。これを読んでいる読者はこう思うだろう。

「お前は一体全体何を言っているのだ」

読者の気持ちは凄くわかる。では解説をする。

実はこの列車、手稲で快速列車に追い越されるである。札幌14時41分発、小樽行き普通列車が先発し、手稲到着は14時56分、手稲発車は15時02分、この間6分停車である。対する快速列車は、札幌14時49分発、小樽行き快速エアポート141号が後発、手稲到着時刻、発車時刻ともに14時59分である。この快速列車は、手稲から先、稲穂いなほ星置ほしおき、ほしみ、銭函ぜにばこ朝里あさりまでの各駅に停車する普通列車との乗り換え接続ができる構造になっている。逆にいうと小樽方面から来る快速列車が手稲から琴似ことにまでの各駅に停車する普通列車に乗り換え接続ができるようにもなっている。そして、快速エアポート141号の小樽築港おたるちっこう駅の到着時刻は、15時15分。私が乗っている普通列車の小樽築港駅の到着時刻は、15時27分。この時点で12分差である。これより南小樽駅で多少の時間を作る事が出来る。そんなこんなで私は、手稲で快速列車に乗り換える。快速列車に乗り込んだが、混雑状況は立ち客はいなく、空席があるくらいだった。

 列車は「ガタン…ゴトン…」とレールの上を走ることを実感できる音を立てながら、連続したカーブを走りながらトンネルを通過し、小樽へ走る。朝里駅をすぎれば列車は海沿いを走る。進行方向、右手側から海と小樽の街並みが一望できる。そして、トンネルを過ぎれば、まもなく小樽築港駅。左手には住宅街が広がり、右手には旧小樽築港機関区などの鉄道用地跡を利用して作られた大型ショッピングモール「ウィングベイ小樽」が見える。列車は車掌の笛の合図と共にドアが閉まり、発車。南小樽駅までは残り一駅だ。「まもなく南小樽‥南小樽」とアナウンスが聞こえた。南小樽駅に到着前。季節は冬、やはり寒い。駅舎を出てみれば、雪が降っているのではないか、息をはけば白くなる。南小樽駅では、20分ほど時間を潰し、さきほど乗ってきた普通列車にもう一度乗り、小樽へ。小樽に付いた頃には16時手前、冬の日の長さは短く、夕暮れ時である。

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