#2 この人が。


体調は治らないが、スキー教室が始まってしまった。


コーチ発表となり、私たちの班の番まであと少しとなった。




「女のコーチがいい」


とか



「優しい若い人がいい」



とかいろいろみんな言ってるけどさ……


誰でもよくない?!


スキーができること自体、もうここから先、少なくなるはずなんだから、私はスキーを楽しみたい!


……まあ、若い人がいいって言うのは分かるけど。





そんな中来たコーチは……


「初めまして、藤田ふじた しゅうです。」


若めの男性。


……今のところ若いしかあってないぞ、みんな。


……高望みしすぎたな、みんなよ。


「よろしくお願いします!」


この班のリーダー、ゆいさんが取り乱した心を急いで戻して、全員であいさつして、スキー教室が本格的に始まった。










「マジで修コーチ、嫌なんだけど。」


その日の夜、学校指定の班ミーティングの時間で司会の結さんが最初に発した言葉がそれだった。


確かに声が小さかったりして後ろの方にいた結さんのところまで指示が聞こえなかったり、私たちが間違えていてもそのまま進められたりした。



これでは、スキー教室に来た意味がないので、私と同じ部活の春佳と私で指摘をして、指導をしてもらったのだが。



「そうだね~」


「というか、ゆきと沙也華さん、スキー上手だったよね?!二人だけ転ばなかったし。」


と班で雑談をしだしてしまったら、突然結さんにそう話された。


「え、上手くないよ~」


雪さんは普段から結さんと同じ部活で結さんの扱いに慣れているみたいで関西のお笑い芸人さんのように軽く叩きながら否定していた。


「私も、そこまでです……久しぶりのスキーで緊張しすぎて、リフトでも結局酔ってしまいましたし……」







そんな感じで話をしていたら、どんどん脱線していき、世間話となった。


「そういえばさ、ここ最近なんか雨、多くない?」


「確かに。なんかゲリラ豪雨とは発生して、土砂崩れが起きたりしてるんでしょ?」


「それと地震も多いよね。」


「そうだね。」


「あの……」


とここまで会話にあんまり参加していなかったこころさんがそっと手を挙げた。



「早くしないと先生が消灯時間の確認に来てしまいますから、ミーティングをしちゃいましょう?」


「そうだね~ごめんね。」


と話をそらした結さんが謝りながら、正式なミーティングが始まった。



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