第212話 一歩出すをさなの靴や春の風

 

 

 

 春を待っていた幼子が、赤い靴を履かせてもらい、柔らかな黒土に一歩を置く。


 

 ――♪ たんたんの~ ほうちいもうみ~


 

 まわらぬ舌で歌らしきものをうたいながら、楽しそうに踏み鳴らしていた……。

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