第194話 畦道のひかり集めて花薊


 

 

 

 野辺にあってピンクがひときわ濃いあざみの花には、まるで周辺のすべての光が集まって来ているみたいで、下校時の遠くからも、すぐにそれと知れるのでした。⚘


 その艶やかさに見とれていると、「ブーン」という合図と共に田んぼ道のかなたの無人駅を発った2輌編成のディーゼルカーが、少し離れた場所を通過して行ってつぎの駅に到着する……その一部始終を見通して、1年生は時刻を知るのです。

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