第195話 初蝶の湧き出る渓の昏さかな
春先の蝶は、いまにも透き通ってしまうのではないかと心配になるほど、儚げな白や黄の薄い羽をしていて、不定形飛翔を追う目をハラハラさせずにおきません。
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その蝶たちが生まれ出るのは、昼でもほの暗い奥山の渓谷で、清流の音を子守歌に育つので外見も心根も清らかなのだと、だれかが言ったとか言わないとか……。
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