第175話 藪に咲く白梅匂ひ立ちにけり


 

 

 

 当地方ではまだ無理だろうと思っておりましたが、散歩の途中、日当たりのいい藪に数輪、そっと咲き初めた白梅の花を見つけたシホリは思わず足を止めました。

 

 ――なんと清らかな!

 

 枯色を背景にしているせいでしょうか、あるいはほんの数輪だからでしょうか、ここまで清楚で初々しく、凛然とした白梅の花を、初めて見たような気がします。


 浅春の光の煌めきは白い小粒の花に集中し、冷気の抜けきらない風もまた梅の花のまわりを避けて吹き過ぎ、荒れた藪もそっと花を守っているようで……。(#^.^#)

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