第140話 大は小庇へる犬や雪の道

 

 

 

 

 わずかな積雪がカチカチに凍りついた朝、44回目の心療内科の受診に出向いたケイコは、途中、信号待ちの車の窓から、何とも微笑ましい光景を目撃しました。


 細身の女性に連れられてやって来たのは、薄くクリーム色がかった被毛のラブラドールレドリバー&黒のミニチュアダックスフント、大と小2匹のワンさんです。

 

 

                🐶 🐕

 

 

 体格の差は10数倍、したがって歩幅があまりに違い過ぎて、いくら何でも一緒の散歩は無理だと思うけど……と見守っていると、なんと、クリームラブちゃん、少し進むと、まるで母犬のような笑顔でふり返って黒ダックスちゃんが追いつくのを待ち、また数歩進んでは……という感じで、ほのぼのと仲良く歩いて行きます。


 あまりの愛らしさに、車を降りて2匹を抱きしめたくなったケイコですが、気の合う(と勝手に思っている〈笑〉)心療内科の先生とも、いつもどおり文学ほかの話に楽しく興じ、通院と呼ぶには申し訳ないような穏やかな半日を過ごしました。

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