第136話 突つ張りてシャツ干されゐる寒の空


 

 

 

 ハルカの家の寝室の小窓から、通りをひとつ越したお宅の庭が見通せます。

 その家には二世代が住んでいて、いつもたくさんの洗濯物が翻っています。

 

 

                ☀

 

 

 可笑しいのは、干された服の形状からだれの着るものか即座に推測できること。

 新聞やラジオの人生相談に好奇心を輝かせる下品げぼんの主婦のような覗き趣味はありませんが、外を見ればいやでも目に入ってしまうのですから仕方がありません。


 というより、正直なところ、むしろ迷惑だったりするのですが、ハルカに苦情を述べる権利がないことは当然なので(笑)、今日もまた青いハンガーに肩を突っ張らせたシャツが勢いよく北風に翻っている様子を否応なく見せられているのです。

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